香川事業所のコークス炉
三菱ケミカルグループは2日、製鉄用コークス、ニードルコークスやピッチコークスなど炭素材事業から撤退すると発表した。香川県坂出市の香川事業所で行ってきたコークス炉やタール蒸留設備での生産を2027年度下期に停止し、設備を撤去する。撤退にともなう非経常損失は約850億円を見込み、このうち約190億円を2026年3月期第3四半期に、残る約660億円を同第4四半期に計上する予定。
撤退対象事業の売上高は25年3月期で1158億円。生産拠点の香川事業所の従業員は約1100人で、そのうち約600人が撤退対象の事業に携わっている。グループ内での再配置や支援措置で対応していく。なお、同事業所で生産するピッチ系炭素繊維や関連製品、負極材は撤退対象ではなく、事業を継続する。
コークス生産から得られるコールタールの蒸留品となるクレオソート油を用いて、東海事業所(三重県四日市市)と九州事業所(北九州市)でカーボンブラックの製造などに展開している。今後もカーボンブラックや合成ゴム事業を継続するものの、原料は外部調達に切り替える。また、香川のコークス炉を活用し、使用ずみタイヤなどをケミカルリサイクルして生産する資源循環型カーボンブラック事業も併せて撤退する。
中国を中心とした鋼材需要の長期的な不振を背景としたコークス市況の低迷に直面し、三菱ケミカルはこれまで生産規模縮小や販売ポートフォリオの見直しなど収益改善策を進めてきた。生産体制では、コークス炉を250門から150門へ縮小し、25年4月に生産能力を4割削減した。
しかし、中国の過剰生産やインドネシアでの大型設備稼働を背景に、国際コークス市況の低迷は長期化しており、構造的な供給過剰の解消が見通せない状況にあり、生産停止を決定。炭素材事業もコークス炉の稼働を前提とした生産体制であることから、撤退の判断にいたった。
1969年にコークス製造を開始し、総合的な石炭化学拠点として発展してきた香川事業所は、今回の決定により大きな歴史的転換点を迎える。