三井化学の橋本修社長は26日、経営概況説明会を開催し、従来、ライフ&ヘルスケアを第1のけん引役としてきた方針を一部見直し、半導体材料などのICTの成長速度を引き上げる考えを示した。成長領域のなかで「最もアグレッシブな計画に修正」(橋本社長)し、好調な半導体製造工程用テープなどを核に新製品も投入して需要を取り込む。ライフ&ヘルスやモビリティでも新興市場の開拓やM&A(合併・買収)など積極的な資源投下で高成長を実現する。石油化学は他社連携、再編を具現化して収益改善を図る。目標に掲げる2028年度コア営業利益2000億円の達成を目指す。
橋本社長は、ライフ&ヘルス、モビリティ、ICTの成長領域は「19年度以降、年平均11%成長を遂げてきた、今後は目標の達成に向け15%の成長が必要で施策を積極的に打っていく」と強調。とくに新製品・新銘柄の拡販を通じてオーガニックな成長を積み上げる方針を示した。
28年度コア営業利益2000億円は堅持するものの、成長領域の成長速度を見直した。ライフ&ヘルスケアは現状、レンズ材料を中心とするビジョンケアと農薬が収益の柱で、利益は19年度比で2倍に拡大し、成長領域で最も高い年平均18%程度の伸び率を示してきた。しかし、「当初想定した伸びは難しい」と判断し、28年度のコア営業利益目標を引き下げた。今後はオーラルケア、整形外科、検査診断などのメディカル関連事業で同領域の「第3の柱となる事業を早期に選択し、集中的に資源を投入して拡大を図る」。
上方修正されたICTは、半導体製造工程で使用される表面保護テープ「イクロステープ」や次世代フォトマスク保護膜「ペリクル」を中心に拡販を進める。イクロステープはウエハー裏面研削工程からダイシングやモールド工程にも広がる。ペリクルは深紫外線(DUV)、極紫外線(EUV)ペリクルを展開し、カーボンナノチューブ(CNT)を使った次世代、次々世代製品の開発を進めるなどさまざまな状況に対応できる体制を整えている」
「最もアグレッシブな計画に修正」したと語る橋本社長
ICTはコーティング・機能材でアフリカ、南米などで販売や技術サービス体制の拡充も検討し、グローバル展開を加速する。今後、年平均18%成長が目標で「ライフ&ヘルスケアがこれまで達成してきた成長率と同水準の拡大を目指す」。
モビリティは19年以降8~9%の利益成長を維持しており、拠点拡大と基盤強化を進めることで、計画する利益拡大が可能とみる。ポリプロピレン(PP)コンパウンドや複合材料を核に、地理的にも新興市場を開拓し「オーガニック成長が期待できる」。
一方、再構築を進めている、石油化学を主体とするベーシック&グリーン・マテリアルズ(B&GM)は、自社での取り組みに加え、ポリオレフィンの再編など連携策を推し進めている。大阪府のエチレン設備は、旭化成と三菱ケミカルの合弁が水島地区で運営する設備と最適化を検討中で、有限責任事業組合(LLP)を設立し「精力的に議論を進めており、26年度の早い段階での方向性を合意したい」考え。
収益拡大とともに、資本効率の向上も課題で全社横断的に構造改革を進める。ライトアセット化の一環で、成長領域の低収益事業などを再構築し、25~28年度で400億円の効果を見込む。橋本社長は「B&GMだけでなく成長領域においても聖域なく絶対的にパフォーマンスを追求し、事業ポートフォリオの組み替えを確実に実行していく」と語った。