原料塩洗浄設備
【印グジャラート州ガンディーダム=安宅悠】印大手工業塩メーカー、ランカーズ・インターナショナルは、日本市場参入を果たした。クロルアルカリ(電解ソーダ工業)メーカー1社で採用が決定。4月にも商業生産向けに日本へ初出荷する。また、別の日系メーカーとも商談を進めている。持ち前のコスト競争力や安定供給、品質に加えて日系での実績も武器に今後市場を開拓する方針で、台湾市場なども念頭に置く。さらなる躍進に向けて新塩田建設や設備投資も計画する。
ランカーズは1996年にインド初となる原料塩洗浄設備を開発、実用化した同国工業塩のパイオニア。同設備のノウハウは国内の競合他社にも共有され、インド塩のクロアリ向け展開の可能性を切り拓いた歴史がある。
現在、規模ではフレンズソルトなどに次ぐポジション。北部に広がる塩湿地帯であるグレータ・ラン・オブ・カッチ(GRK)を中心に同州で塩田を運営し、年400万~500万トンを出荷している。これにはソーダ灰や融雪向けのグレードも含まれるが、ランカーズはクロアリ工業向けに高純度な差別化品を拡販する戦略をとっている。現状、クロアリ向けが4割以上を占めている。
クロアリ工業の増設が見込まれるインドで内需に対応するほか、海外市場開拓にも力を入れている。これまでにクロアリでは中国や中東向けで実績があったが、2024年には韓国でも採用を獲得した。
この韓国での実績ももとに、販売代理店を務めるシンガポールの化学品商社、パシフィック・コモディティーズ・エクスチェンジ(PCE)が日系クロアリメーカーにアプローチ。今回の採用にいたった。
採用のカギとなったのが、豪州産やメキシコ産に対するコスト優位性。インドは人件費やインフラコストが低い。さらにランカーズは濃度の高い地下塩水も利用することで濃縮工程を短縮し、省スペース化や設備費の抑制を実現している。このため、原料塩を比較的安価に製造でき、高いコスト競争力を有している。
安定供給も採用に貢献。パナマックスでの輸送実績を持ち、大型船にも対応可能。乾期に塩を収穫・ストックし、雨期でも出荷前に洗浄して供給できる体制も整えている。また、洗浄拠点をカンドラ港周辺に6カ所設置してバックアップ体制を構築している。同拠点は高台化しており、洪水などの影響も受けにくい。
品質も採用の要因の一つ。原料塩などの運搬にはステンレス荷台の自社トラックを採用。海運も自社で管理し、自前のラボも活用して検査を徹底、品質の維持に努めている。
複数グレードのほか、カルシウムやマグネシウムの比率、シリカ量、粒度など塩田ごとの特徴を把握して調整し、顧客仕様に合わせた工業塩も供給。一般的にクロルアルカリ工業では出自が異なる工業塩をブレンドして使用するが、ランカーズ製はこのカスタマイズによりブレンドせず直接使用することもできる。
まずは日系への供給量の拡大に注力する構え。一方で、これらの特徴や高品質が求められる日系での採用実績を訴求。長期的にはさらなる市場開拓も視野に入れる。大手メーカーによる安定市場である台湾、今後成長が期待できるマレーシアやインドネシアなどに照準を置く。
さらなる拡販に向け生産体制も強化する計画。目下、政府にGRKでの新塩田建設を申請中で、承認が下りればクロアリ向けの洗浄設備などへの投資を行う予定だ。現状、クロアリ向けの生産能力は年150万~200万トンだが、新塩田運用後は年250万~300万トンとなる見通しだ。