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  • アラムコ、中国の製油所・石化一体化企業2社に出資
  • 2023年10月25日
  •  【上海支局】サウジアラムコは9日、中国山東省で製油所・石油化学一体化工場を建設中の裕龍石化(龍口市)の株式10%を取得すると発表した。同日、裕龍石化の株主である南山集団、山東能源集団を含めた3社と交渉開始に向けた覚書(MoU)を交わした。アラムコは9月、同じく一体化工場を運営する中国民間化学大手・盛虹石化(蘇州市)への出資を発表。原油の安定供給先を確保するため、中国化学企業への投資を加速する。

     デューデリジェンスや当局の認可を経て、裕龍石化などと正式に株式取得契約を結ぶ。裕龍は山東半島北岸の龍口で、大型の一体化工場を建設中。2024年稼働を目指す1期投資は、原油処理能力日量20万バーレル、エチレン年300万トン(分解炉2基合計)など。投資額は約1300億元(約2兆7000億円)。原油処理能力は2期投資で40万バーレルに倍増させる計画。

     アラムコは先月、22年に連雲港市で一体化拠点を稼働させた盛虹石化の親会社・東方盛虹集団とも同様のMoUを交わした。盛虹石化株10%の取得を目指す。盛虹は連雲港市でMTO(メタノール・ツー・オレフィン)やPDH(プロパン脱水素)装置、合繊原料などのプラントも運営。ここ数年で急速に事業規模を拡大している。

     アラムコは両社に対し、原油にとどまらずその他の化学品原料の供給も想定する。近年は、中国と原油・ガス取引や製油所・化学事業、エンジニアリング、研究開発といった分野での協力を深めている。

     3月には約120億ドル(約1兆8000億円)を投じて中国国営企業と合弁会社を設立し、盤錦市(遼寧省)で一体化拠点に着工。同月、舟山市(浙江省)で世界最大級の一体化拠点を運営する栄盛石化の株式10%を36億ドルで取得した。またこれらに先立ち22年春、傘下のサウジ基礎産業公社(SABIC)を通じて、古雷(福建省)で現地企業との合弁エチレンセンターに着工した。

     アラムコは福建省で中国石化(シノペック)との合弁エチレンセンター2拠点も保有する。
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