田中貴金属工業は25日、貴金属のみで構成されるハイエントロピー合金粉末(写真)の開発に成功したと発表した。10マイクロメートル以下の微細な粒径と高い結晶性を兼ね備え、組織の均一性に優れる。プラチナ、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、ロジウムの5種の貴金属のみで構成されている。すでに量産体制を確立しており、10月からサンプル提供を開始する予定。3Dプリンターによる造形や各種回路、センサーなどに提案する。ハイエントロピー合金の特性である高強度化・高耐熱性を生かした触媒や、高い耐久性を必要とする導電膜への活用も見込む。

     同製品は工業用に使いやすいマイクロオーダーの合金粉末。これまでのナノオーダーの貴金属ハイエントロピー合金と異なり結晶子サイズが大きいため、合金として安定している。機械的強度の改善、耐食性の向上、熱膨張率の抑制といった合金本来の要求特性を満たす。合金の組成割合により性質が大きく変化する貴金属合金の機能・特性の改善に寄与する。
いいね

  • ランキング(デジタル社会)