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  • G7貿易大臣拡大会合、重要鉱物SCで途上国と連携
  • 2023年11月1日
    • 拡大会合で司会を務めた西村経産大臣
      拡大会合で司会を務めた西村経産大臣
     先進7カ国(G7)大阪貿易大臣会合では、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の閣僚や産業界の代表などを招いた拡大会合を開催した。電池、半導体をはじめとする重要物資のサプライチェーン(SC)強靱化に向け、とくに上流の重要鉱物、原材料の調達の多様性について議論した。G7貿易大臣会合としては初の拡大会合となる。司会を務めた西村康稔経済産業大臣は閉会後の会見で、「G7の国々だけでは、サプライチェーンが完結するわけではない。グローバルサウスの国々との連携が極めて重要だ」と強調した。

     自由貿易と経済安全保障を両立するためには、信頼できるパートナー国との連携によるSC強靱化が必須となる。拡大会合はSCの強靱化に向けて、「自由で公正な貿易を推進する」グローバルサウスの国々との連携強化を目的に開催された。

     拡大会合にはG7各国のほか、グローバルサウスの主要国であるインド、インドネシア、資源国であるオーストラリア、チリ、アフリカを代表してケニアの各国閣僚が参加した。産業界を代表して、日本からは経団連の安永竜夫副会長(三井物産会長)、スズキの鈴木俊宏社長、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の高原一郎理事長が出席した。海外からは、独シーメンス・エナジーの豪州部門、リオ・ティント、カナダ・カンポテックス、米コヒレントの経営陣が名を連ねた。

     5月のG7広島サミットでは「強靱で信頼性のあるサプライチェーンに関する原則」(SC原則)を表明。透明性、多様性、安全性、持続可能性、信頼性がG7内外で強靱な供給網を構築するうえで不可欠な原則であることを共有した。

    • 拡大会合に出席した各国の関係者ら
      拡大会合に出席した各国の関係者ら
     同拡大会合は、SC原則をより具体化するためのもの。とくに、(1)原材料、重要鉱物の調達の多様性(2)SC構築を通じたグローバルサウスを含む包摂的で持続可能な成長(3)投資受け入れ国における制度運用の透明性-について意見を交わし、その重要性を確認した。

     西村経産大臣はG7貿易大臣会合の閉会後会見で、「特定国への依存度が高いゆえに、それが武器となり、経済的威圧行為として使われてしまう」とし、特定国への依存度を減らすための強靱で信頼性のあるサプライチェーン構築に向けて「G7の枠組みを超えたグローバルサウスの国々、民間企業との連携に取り組むことで一致できた」と胸を張った。

     グローバルサウスの国々を招待した意義については、「(それらの国々は)経済成長が著しく、世界経済のなかで存在感が増している。かつ資源国も多い。日本を含むG7各国が、経済安全保障の確保とサプライチェーン強靱化に取り組むうえで、非常に重要な役割を担うことになる」と述べた。
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