豊田通商の岩本秀之最高財務責任者(CFO)は、31日開催の決算説明会で、今後のリチウム(Li)市況について、「(1トン当たり)2万~3万ドルで落ち着くのではないか」との見通しを示した。「生産者にとってもそれなら採算が取れるのではないか」と続け、足元、引き合いは弱まっているものの、需要に応じて「3万ドルに上がってもおかしくない」とした。

     電気自動車(EV)の普及・拡大を受け、炭酸リチウム、水酸化リチウムいずれも、一時は同8万ドルにまで高騰していたが、春先には同3万ドルにまで下がった。市況は上下を繰り返した後、足元では下落基調をたどり、同2万3000ドル前後。岩本CFOは、「中長期的にはこの水準で推移していく」とも語った。

     中国が12月から黒鉛の輸出規制を実施する方針を打ち出したことに関しては、「ショッキングなニュースだった」と振り返り、「黒鉛は電池の基幹。やはり代替先は必要だ」と語った。そのうえで「いろいろ考えている」ともし、具体的な内容は明らかにしなかったが、黒鉛安定確保に向け、新たな供給源開拓に動き出していることを示唆した。
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