• 決算
  • 石油元売り3社4~9月期、在庫影響大きく
  • 2023年11月16日
  •  石油元売り3社の4~9月期決算は、原油価格の変動にともなう在庫影響が響いて2ケタの減益となった。石油化学部門では、需給のタイト化によりパラキシレン(PX)市況が良化した一方、オレフィンなどで需要の低迷が続き厳しい事業環境を強いられた。3社とも為替や原油価格の前提を見直し、通期業績予想を修正した。

     ENEOSホールディングス(HD)は、在庫影響を除くと営業利益は前年同期比2・3倍の2691億円。基礎化学品では「PXやベンゼンの市況が良化し、収益性は向上した」(齊藤猛社長)。中国でPX誘導品の新設備が稼働を始めていることなどから当面、「対ナフサマージンは底堅く推移するのでは」(同)とみる。エラストマーなど機能材部門は、前期特殊要因の反転で営業利益が同81%減の25億円となった。

     出光興産も在庫影響を除く営業利益(持分法投資損益との合算)では、1946億円と前年同期比17・1%の増益を確保した。基礎化学品部門は定修にともなう設備停止で販売数量が減少し、セグメント利益は同15・3%減の120億円だった。今後、アロマ市況の改善がオレフィンなどの需要低迷で相殺されるとして、同部門の通期セグメント利益の予想は210億円で据え置いた。

     コスモエネルギーHDは、在庫影響を除く経常利益でも779億円と前年同期比5%の減益。植松孝之専務執行役員は「製油所の稼働トラブルで、良好だった事業環境を十分に享受できなかった」と話す。石油化学事業は、メチルエチルケトン(MEK)やオレフィンの市況軟化で34億円の赤字(前年同期は78億円の黒字)。「収益の確保が非常に厳しい状況」(同)と、同事業の通期の経常利益予想は90億円引き下げ、70億円の赤字とした。
いいね

  • ランキング(経営)