• フォトレジストは原料も含めて日本勢が高い競争力を持つ
      フォトレジストは原料も含めて日本勢が高い競争力を持つ
     感光剤やレジストポリマーといったフォトレジスト材料の競争が激化している。半導体市場の回復に合わせ、各社はポートフォリオの拡充や設備投資に乗り出し、極紫外線(EUV)レジスト向けなど先端領域で事業拡大を狙う。レジスト材料市場は半導体市場の拡大にともない、年平均7%で成長する見通し。半導体フォトレジスト市場は日系メーカーが8~9割のシェアを握っており、川上のレジスト材料側も日系メーカーがしのぎを削っている。

     富士フイルムはフォトレジスト材料事業の売上高を2026年度に23年度比7割増やす。強みを持つEUV用光酸発生剤(PAG)、フッ化クリプトン(KrF)用レジストポリマーを拡大させ、EUV領域ではレジストポリマーの素原料となるEUV用レジストモノマー、重合開始剤などを伸ばす。「半導体市場は底を脱しており、幅広い顧客ニーズを捉え、事業を拡大させる」(吉田光一ファインケミカル事業部長兼富士フイルム和光純薬社長)考えだ。

     富士フイルムグループはフォトレジストも手がけるのが強み。富士フイルム和光純薬がレジスト材料の受託生産を手がけ、一方で富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(FFEM)がフォトレジストを生産しており「レジスト材料メーカーでありながら、レジストに対する深い知見を持つ強みがある」(同)。先端領域で高度な分析・評価技術が求められるなか、FFEMが持つ分析技術や評価装置を活用できる利点もある。

     レジスト材料の23年度売上高は20年度比で3割増えた。26年度に向けて大幅な増収を狙い、PAGは先端EUV向けの受託生産を拡大し、トップシェアを目指す。レジストポリマーは主力のKrF用レジストポリマーを伸ばすほか、EUV領域ではさらに川上の素原料ビジネスに力を入れる。ターゲットは先端EUV向けの超低メタルレジストモノマー、重合開始剤など。レジストモノマーや重合開始剤はフッ化アルゴン(ArF)、EUVなどの領域で実績化が始まっており、さらなる拡大を目指す。

     EUV向けのPAGでトップを走る東洋合成工業はこのほど、千葉工場(千葉県香取郡)に感光材の開発分析棟を竣工し、PAGの開発・分析能力を強化した。7月には製造設備の増設を終え、先端向けのPAGやレジストポリマーを増産する。DICは昨年、カナダのレジストポリマーメーカーを買収。カナダ工場と既存の北陸工場(石川県白山市)で増強を進め、先端領域でシェア拡大を目指す。

     昨年、ArF用レジストモノマー首位の大阪有機化学工業は、金沢工場(石川県白山市)の生産能力を21年比で1・6倍に引き上げた。今後はEUV用レジストモノマーにも力を注ぐ。ADEKAも昨年、千葉工場(千葉県袖ケ浦市)でPAGの生産能力を2倍以上に引き上げている。
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