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  • 中国、米産エタンを報復関税から除外 事業継続影響
  • 2025年5月13日
  •  【上海=中村幸岳】中国政府は、対米報復関税の対象からエタンを除外したもようだ。9日時点で当局の正式発表はないが、市場関係者の話を総合すると4月末に対象から外れた。中国化学大手は近年、エチレン原料として相対的に価格競争力が高いエタンの輸入を増やす方針を打ち出している。エタンへの追加関税は、ユーザーの事業継続性に大きな影響を及ぼすと予想されていた。

     中国政府はトランプ政権による145%の対中追加関税に対抗し、5月半ばから化学品を含む米国産品に125%の報復関税を課す方針だった。対象から除外されたことにより、米国産エタンには5月以降も通常関税(1%)のみ課される。

     4月末現在、中国沿岸部でエタン炉(ナフサなどとのミックスフィード炉含む)を運営する企業は衛星石化(連雲港)、新浦化学(SPケミカルズ、嘉興)、華泰盛富(寧波)、三江化工(嘉興)、万華化学(煙台)の計5社。いずれの企業も、唯一の輸出国である米国からエタンを輸入している。

     このうち複数企業が、エタンを原料に生産するエチレンやポリエチレンを再輸出することで、エタンが報復関税対象から免除される措置などを当局に陳情していたという。対象除外が再輸出など条件付きの措置かは不明。

     ナフサの価格競争力低下にともない、中国勢もエチレン原料としてのエタン使用を増やし、合わせて大型エタン輸送船(VLEC)建造を進めている。中国石油化工(シノペック)も複数のエタン炉投資計画を抱える。

     市場では、同じく報復関税対象に含まれているプロパンも対象から外れるとの見方が出ている。とくにPDH(プロパン脱水素)装置運営企業への影響が大きいためだ。

     中国は世界最大のPDH装置運用国。同装置によるプロピレン年産能力は合計で年間約1900万トンに達し、プロパンは燃料用よりPDH用に多く使われている。供給過剰で、昨年の中国のPDH平均稼働率は60%台半ばに止まった。軒並み赤字に陥っているが、なお投資は続いている。

     米中両国政府は先週末から、スイスで関税を巡る閣僚級協議に入っており、化学品の取り扱いも注目される。
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