就任後初の経営戦略説明会に臨む水戸社長
住友化学の水戸信彰社長は25日、就任後初の経営戦略説明会に臨んだ。強みの有機合成技術をベースとした「勝ち筋」事業にこだわることで、成長軌道への回帰を実現すると強調。農薬はブロックバスター候補3剤の育成に注力し、半導体材料は高純度ケミカルで米国やインドへの事業投資に意欲を示した。石化の構造改革はシンガポールに焦点が移り、「2026~27年頃には方向性を打ち出したい」考え。新たな成長事業として再生・細胞医薬を挙げ、「我が社が持つべき医薬事業の一つの解だ」と期待を込めた。
水戸社長は、2023年度に記録した過去最大の赤字からの構造改革を振り返りながら、「現状は、巨額損失の影響が完全には癒えておらず、負債レベルもまだまだ高い危機的状況にある」との認識。資本効率を高めて負債を削減しながら、限られたリソースを徹底して勝ち筋事業に振り向ける「バランスが問われている」と述べた。
成長ドライバーの農薬事業はブロックバスター候補3剤の育成に努め、殺菌剤「インディフリン」は品揃えと地域・作物の拡大、除草剤「ラピディシル」は主要市場への地域拡大と次世代防除体系への適用による事業拡大をテーマとする。殺菌剤「パベクト」は「欧州のみならずブラジルでもブロックバスターになれる」と期待を示した。バイオラショナル・ボタニカル領域は競争も厳しいが、「ブラジルやバイオスティミュラントの拡大、新規ボタニカル開発などで事業規模を30年度までに1500億円へ倍増する」。
半導体材料は、アルカリ現像に耐えられるネガ型や有機分子など先端レジストの創出に加え、高純度ケミカルで先行投資によるトップシェアの地位を固める考え。米国での増強検討に加え、インドは「26~27年に立ち上がる前工程を見極めながら事業拠点を構築する」。同地では農薬ビジネスのノウハウなどを生かせるとみている。
次代の成長事業として強調したのが、再生・細胞医薬だ。「後発品の参入障壁が高く、パテントクリフも緩やか。バイオ医薬品などと比べ設備投資も1~2ケタ少なく済む」として中長期的な成長に自信を示した。
石化の構造改革は、国内のポリオレフィンやペトロ・ラービグの持分引き下げなどで「大きく前進している」。シンガポールについては、誘導品は「ハイグレードシフトなどで今季はトントンから黒字に持って行きたい」。ナフサ分解炉を運営するグループ会社PCSは「ステークホルダーも多いので一朝一夕に進まないが、国内の構造改革の時間軸に遅れることなく取り組んでいく」と述べた。
切り離しも検討手段としてきた創薬事業については「1年前と経営環境は激変し、基幹3剤の成長は当初予想をはるかに上回る水準だ」。明確なプランはないとしながら、「開発レベルの連携や資本提携、究極的には売却など、あらゆるオプションがある」とし、27年度までの現中計期間内に方向性を示す方針。