ものづくり革新センターではデジタルツールを用いて課題を解析し、省力化を図る
三洋化成は、生産現場の抜本的な効率化に乗り出している。2023年7月に発足した組織「ものづくり革新センター」が主体となり、研究開発部門の人材を生産本部に組み込むことで現場密着型の改善活動を推進。上流工程のプロセス開発などを進め、原料ロス削減や人員負荷軽減といった効果が出始めてきた。こうした取り組みは「ものづくり大改革」の一環で、25年度に22年度比で約30億円の営業利益改善を計画する。
ものづくり革新センターは、三洋化成のマザー工場である名古屋工場(愛知県東海市)を拠点に、鹿島工場(茨城県神栖市)などの国内工場やタイ、韓国といった海外工場での生産改善に取り組む。「ものづくりブレイクスルー」をスローガンとし、無駄を省き安定した工程を確立させ、収益性と品質を高めることが主要ミッションだ。デジタルツールを活用し現場オペレーターと研究者がリモートで課題を共有、解析する仕組みも整え知見の集約と迅速な問題解決を図っている。
発足から約2年で改善の成果も出始めた。一部製品では、生産工程における反応温度や触媒などを見直し、さらに中間的な検査工程の省略および自動化で生産性を大きく向上させた。工程の安定と人員負荷の軽減を図った。原材料のロス削減も進める。また従来、溶剤を使っていた工程も無溶剤に変更し廃液を削減。24年度は名古屋工場で産業廃棄物を数十トン規模で削減する成果も上げた。
<設備刷新と両輪>
活動はソフト面にとどまらない。設備の集約・最適化など主にハード面での生産性向上を目指す社長直轄の「生産設備改革プロジェクト」とも連携し、プロセス改善や装置の刷新を両輪で進めていく。さらに本社の「原価改善プロジェクト」とも協働することで原料調達から生産、出荷にいたるサプライチェーン全体でのコスト競争力を高めていく方向だ。将来的には、ものづくり革新センターがソフトとハードの両面を担う役割に発展する可能性もある。
三洋化成がものづくり改革に取り組む背景には、顧客の高度化する要求と原料価格の上昇などがある。従来の製造手法ではコスト低減に限界があり、抜本的な構造改革が不可欠と判断。また環境対応の観点でも、廃棄物や臭気の削減などゼロエミッション活動を推進し、効率化と環境配慮の両立を図る。ものづくり革新センターを中心とした生産改革は足元の原価改善だけでなく、将来的にグローバル全拠点の競争力向上にもつなげる。
<安全も重要課題>
ものづくり革新センターの田本明彦センター長は「当センターに求められる成果としてはコストダウンへの貢献が大きい。一方で、安全に直結する活動も非常に重要だ」と強調。同センターが主体となり、危険をともなう高温作業の一部を減らすことができた。今後も現場で働く人の安全を第一として改善活動に力を注ぎ、危険がともなう作業を可能な限り回避していく方向だ。「コストダウンのように数字に表れにくいものの、われわれが持っている化学の知識を駆使して安全に貢献していく」と話す。