• 医薬・医療
  • 旭化成、独医薬を1431億円で買収
  • 2026年2月27日
    • 会見する工藤社長
      会見する工藤社長
     旭化成は26日、ドイツの医薬品企業アイキュリス・アンチ・インフェクティブ・キュアズ(ヴッパータール)を買収すると発表した。買収額は7億8000万ユーロ(約1431億円)。旭化成は医薬事業で移植・免疫領域を得意とし、アイキュリスは同領域の治療で使われる重症感染症分野の新薬候補を保有する。旭化成が重点領域に据える自己免疫・腎臓・移植・重症感染症における事業基盤を拡充し、成長を加速する。

     アイキュリスは2006年の設立で、25年売上高は1億3200万ユーロ。法的な手続きなどを経て、26年度第1四半期の買収完了を目指す。買収にともなうのれん償却後の営業利益は28年度に黒字化を見込む。

     アイキュリスは重症感染症の新薬開発が強み。移植患者におけるサイトメガロウイルス感染予防の治療薬「プレバイミス」は米製薬メルクに導出し、すでに実用化されロイヤルティを得ている。単純ヘルペスウイルス感染症の経口薬「プリテリビル」は第3相臨床試験(P3)を終え、26年度の米国承認を目指している。同薬は30年代半ば以降にピーク売上高4億ドルを見込む。第1相が終了した「AIC468」は、現時点で有効な治療法がない腎移植患者におけるBKウイルス感染治療領域への貢献が期待される。

     旭化成は医薬事業で30年度売上高3000億円を標榜し、20年度に米ベロキシス・ファーマシューティカルズ、24年度にスウェーデン製薬カリディタス・セラピューティクスを買収するなど相次いで拡大策を実行してきた。

     同日都内で会見を開き、工藤幸四郎社長は医薬事業の「持続的に安定成長を目指せる基盤が整った」と述べた。目標とする3000億円は継続的な新薬創出に向けた研究開発投資を確保するための事業規模。アイキュリスは28年度に売上高2億ドル(約300億円)、30年度に5億ドル(約750億円)が見込まれ、早期の収益貢献が期待できると説明した。四ノ宮健ヘルスケア領域長は、ベロキシス、カリディタスに次ぐ「3つ目の強力なピースを獲得し、医薬事業の戦略をさらに一歩前に進めることができた」と意義づけた。

     青木喜和常務執行役員兼旭化成ファーマ社長は、アイキュリスが持つパイプラインについて「マーケットの一番手や(既存薬に)成り代わる薬として確実に市場を取っていける」との見込みを述べた。また、これまで3件のM&Aを経験し、旭化成ファーマの事業規模では限られた資源のなかでこれらのM&Aは不可能だったと振り返った。「ここにこそ旭化成のコングロマリットプレミアムが発揮されている」と述べ、グループ一丸となって迅速な事業開発につながったと説明した。
いいね
電子版無料トライアル

  • ランキング(健康社会)