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  • ペロブスカイト太陽電池 中国企業、日本に熱視線
  • 2026年3月27日
    • 中国内外でガラス型の実績を有する繊納光電の製品
      中国内外でガラス型の実績を有する繊納光電の製品
     ペロブスカイト太陽電池(PSC)を手がける中国企業が、日本市場への参入に動き出している。実用的なPSCの”発祥の地”である日本は、政府の振興も後押しとなり今後社会実装の加速が見込まれる有望市場。ガラス型やペロブスカイト層とシリコン層を組み合わせたタンデム型に加え、日本勢が先行するフィルム型の展開を狙う中国企業もおり、競合が増えていきそうだ。一方で、生産面での協力相手を探す動きもあり、日中のサプライチェーンが接近する可能性も出てきた。

     <建材一体に重点>

     今月都内で開催された太陽光発電関連の展示会「PV EXPO」では、次世代技術のPSCをアピールしたのは日本企業よりむしろ中国企業という印象だった。浙江省杭州市から今回初出展した繊納光電(マイクロクアンタ)もその1社。2025年にはガラス基板型で24・12%の変換効率を達成し、同省に量産工場を構えている大手だ。

     同社は中国国内にとどまらず、すでに海外にも納入実績を持つ。ターゲットは日本と欧州。セールスディレクターの趙波氏は日本市場について「日本人が発明したので国内でPSCに影響力と知名度があり、政府の支援もある」と話す。さらに、人口の割に空いている土地が少ないことを挙げ、「従来の太陽光発電が減速するなか、建材との一体型(BIPV)が一番適する国」と指摘。同社もBIPVへの応用に重点を置いていく構えだ。

     <日本で最終工程>

    • フィルム技術などをPSC開発に生かす聚石化学の楊CEO
      フィルム技術などをPSC開発に生かす聚石化学の楊CEO
     ガラス型やタンデム型が主流の中国勢のなかにも、フィルム型PSCの商業化を目指す動きは広がりつつあるようだ。展示会ではオープンセミナーも開いた聚石化学(ポリロックス、広東省清遠市)は、安徽省の新工場で来年からフィルム型の量産を始める予定。当面の生産能力は250メガワット規模という。

     同社はもともと、樹脂コンパウンドを主軸とする化学メーカー。祖業で培ってきたポリマーやフィルムのノウハウが生きるフィルム型の開発を22年に開始し、事業化にこぎ着けた。同社の楊衷核CEOによると、生産面ではPSC大手である極電光能(ウトモライト)の協力を得ているという。

     日本市場参入には、半製品を日本へ輸出し、現地で最終加工を行うビジネスモデルを選択肢に入れる。楊CEOは「中国で生産する方が確実に安いので、日本で最終工程をやってくれるパートナーを探すことを考えている」と話す。

     さらに、フィルム型の用途拡大も自前で仕掛ける。同社グループはアフリカのガーナで電気自動車の生産を手がけており、その車両にフィルム型PSCを搭載する青写真を描く。

     フィルム型については、繊納光電も開発を進めているという。

     <価格の高さ課題>

     安さが代名詞の中国製品だが、ことPSCでは話が異なる。「商業化の初期段階なので、顧客から指摘される一番の課題は価格の高さだ」と趙氏は話す。ただ、価格競争力の伸びしろは大きそうだ。同社も聚石化学も、PSCの生産に必要な部素材のほとんどは中国内で調達できるという。趙氏は「将来的には原材料コストがだんだん下がっていき、(PSCの価格を)シリコン太陽電池の6割程度まで下げられると思う」と話す。ただ、フィルム型の材料については、一部では品質や性能が安定した材料が供給されない課題があるという。

     また、中国がシリコン太陽電池の世界的な覇権をつかむ原動力の一つとなった国の補助金は、まだPSCには用意されておらず、各社で資金を集めて自力で事業を育成している状態。楊CEOは「例えば、(PSC産業が)将来的にある程度の規模になったら、民間大手が揃って国に支援を求めることがあるかもしれない」と見ており、中国PSCメーカーは今後、部素材面でも資金面でも優位性を獲得する可能性がある。
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