• 所得水準の向上にともない、東南アジアではペット関連製品の需要が高まっている(ベトナムの店頭)
      所得水準の向上にともない、東南アジアではペット関連製品の需要が高まっている(ベトナムの店頭)
     ユニ・チャームは、ペット関連製品の販売品目や地域をアジアで拡大する。キャットフードは、従来の缶やレトルトパウチに密封保存されたウェットタイプに加え、猫特有の生理現象である「吐き戻し」を軽減するドライタイプの主食やコミュニケーションを深めるおやつで品揃えを拡充。犬用の紙おむつは、シンガポールやインドネシアなどに販売先を広げる。米マースといった世界大手や地場メーカーを交えた競争が激しくなるなか、2024年12月期は中長期的な成長の柱に据えるアジアでペットケア事業の売上高を前期比約2倍に伸ばす。

     ユニ・チャームは、全体の売上高の15%ほどをペットケア事業で稼ぐ。23年12月期は売上高が前期比11%増の1394億円、売上総利益から販管費を除いたコア営業利益は同26%増の230億円となった。海外での販売は10年の中国を皮切りに、現在は米国や東南アジアの10カ国・地域に進出しており、ペットケア事業の海外売上高比率は約4割に達する。

     足元の販売は好調で、アジアではここ数年、市場の成長を上回る年率2~3割のペースで売り上げが伸びている。所得水準の向上などを背景に、中国や東南アジアでペット関連製品の需要がますます高まりを見せるなか、成長スピードを一段と上げるには「商品ラインを一気に増やす必要がある」(稲葉洋恵執行役員グローバルペットケアマーケティング本部長)との認識を示す。

     例えば、アジアにおいて猫用はこれまでウェットタイプのフードがメインだったが、今年から来年にかけてドライタイプのフードやおやつの展開も加速させる。食事の吐き戻しを抑えるドライタイプの健康機能食「オールウェル」は、他社にはない強みが発揮できるとみる。素早く胃の中で粒がふやけて崩れる独自の食物繊維配合技術を取り入れたのが特徴だ。

     猫用のおやつは、栄養を摂取する主食のフードとは異なり、コミュニケーションツールの一つとして近年、市場が拡大している。東南アジアにおける猫の飼育頭数は5年前と比べ1・5倍に増えたという調査データもあり、多様化する飼い主の嗜好に応えられる品揃えを充実させて旺盛な需要を取り込んでいく。

     一方、犬用は得意の不織布吸収体の加工・成形技術を生かした洋服感覚のおしゃれな紙おむつ「マナーウェア」や、トイレに用いるペットシート「デオシート」を軸に攻勢をかける。品質の高さを前面に打ち出し、市場で競争力の底上げを図る。

     子供用から大人用へと広げてきた紙おむつは、室内飼育の増加とともにペットにも商機が広がっている。現在、中国など4カ国・地域で販路を開拓するマナーウェアは、市場環境を見極めながら未参入だったシンガポールやインドネシアのほか、豪州、ベトナムでも順次投入を検討している。

     ペット関連製品はペットショップのみならず、EC(電子商取引)サイトを通じて購入する割合も増えており、戦略的なマーケティングが重要になっている。現地ニーズをきめ細かく捉えた商品開発力も強化。すでに子供用紙おむつや生理用品でシェア拡大を進めるインドやフィリピンをはじめ、現地法人を構えるサウジアラビアやエジプトなどでもペットケア事業の展開を模索していく考えだ。
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