• 資源循環
  • 旭化成アドバンス、環境配慮型ブランドを訴求
  • 2023年10月24日
    • 「ベンベルグ」素材の生分解性も訴求する(土壌・海洋中で生分解されたシャツ)
      「ベンベルグ」素材の生分解性も訴求する(土壌・海洋中で生分解されたシャツ)
     旭化成アドバンスは、環境配慮型繊維素材ブランド「エコセンサー」を川下業者を含め、幅広い層へ訴求する。綿実油を作る際の副産物を有効活用し、海洋生分解性を持つキュプラ繊維「ベンベルグ」や世界的にも珍しいリサイクルポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)「ロイカEF」、非フッ素化要求に応える撥水加工技術など、機能性とサステナビリティを兼ね備えた独自性の高い素材群により、衣料業界の環境対応促進に貢献していく。エコセンサーの商材は欧州で実績化しているものの、国内での事業拡大は今後の課題。先行するスポーツ衣料分野に加えファッション用途などにも拡販していく。

     同社がエコセンサーブランドを立ち上げたのは2019年。原糸から加工にいたるまで環境に配慮した素材や製法の適用とともに、耐久性やストレッチ性などの機能性を融合させたさまざまな素材を対象にした環境対応の総合ブランドで、原糸から染色加工にいたるまでトレーサブルなサプライチェーンを実現している。染色加工は「Bluesign」や「エコテックス スタンダード100」など国際的な安全基準を満たしたパートナーに限定する。複合素材とした場合にもベンベルグとオーガニックコットンやリサイクルポリエステルとの組み合わせなど、100%環境配慮素材とすることにこだわっている。

     快適性付与のために欠かせないストレッチ繊維であるポリウレタン弾性糸も、旭化成の自社工場生産品のうち、A格品にならなかった繊維や紙管に巻ききれない部分など従来捨てられていた材料をマテリアルリサイクルすることで再生繊維としている。現在、リサイクル原資の確保量に応じてタイ品は58%、日本品は35%の比率でリサイクル成分を配合し、多くの引き合いを得ている。今後は台湾や中国拠点での生産も検討していく。

     撥水加工では、有機フッ素化合物(PFAS)を使わない加工技術に磨きをかける。15年ごろからC8系と呼ばれるPFOSやPFOAを用いた撥水剤を使わない開発が求められるようになり、その後、代替材として提案されたC6系のPFHxSやPFHxAも禁止される方向にある。同社はシリコーンや炭化水素、ウレタンなどの非フッ素系撥水剤の技術開発を進め、油成分付着による機能低下の課題はあるものの、10回洗濯後でも一定の性能を維持する技術を確立。エコセンサーの重要技術の一つとして提案している。

     ブランド浸透へ川下への提案活動を強化。12日まで東京ビッグサイトで開催したファッション展示会「ファッションワールド東京」にも同ブランドとして初出展し、国内外のアパレルメーカーや商社、小売りなどの来場者に、特徴ある素材群をアピールした。
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