•  住友商事は23日、半導体原料となる黄リンの新たな製造技術確立と国内商業生産に向けて、東北大学と共同研究契約を交わしたと発表した。スラグや廃酸、下水汚泥焼却灰などの未利用リン資源から回収したリン酸を原料に製造する技術を実用化し、2020年代後半の国内商業生産が目標。黄リンの全量輸入が続くなか、国内需要の3割を満たすことを目指す。

     黄リンは、半導体上の薄膜を加工する工程で用いる薬液の原料として使われている。ただ、その際、極めて高い純度が必要となり、代替するのが困難だ。また、黄リンの原料となり得る高品位のリン鉱石は偏在しており、特殊な操業条件も必要となることから、生産国が限られてしまうのが現状だ。日本の場合、全量をベトナムからの輸入に頼っているという。

     そこで、住友商事は未利用リン資源からリン酸を回収し、黄リンとする研究を行っている東北大と提携。黄リン国産化を図ることとする。今後数年間、複数回の実証実験を行い、製造技術を確立し、年1万~1万2000トンのイメージで20年代後半には商業生産を開始する計画だ。具体的な事業の枠組みはこれからの検討を通じ、詰める。

     戦略物資として半導体の重要性が高まるなか、そのサプライチェーンから自給率を高めることで、安定供給につなげる。
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