• 開発品(左)と従来品
      開発品(左)と従来品
     NTNはこのほど、流体動圧軸受としては世界最小サイズとなる内径0・6ミリメートルの「動圧ベアファイト」を開発したと発表した。独自の精密加工技術により焼結含油軸受にヘリングボーン型動圧溝を設け、軸受すきま全周で油膜を形成することで、軽量・コンパクトなうえ、高い静粛性や高速回転対応を実現した。5G(第5世代移動通信システム)普及による通信市場の拡大にともない高速化、高容量化が進む高機能スマートフォンやウェアラブル端末など小型モバイル機器用マイクロファンモータの静粛性向上ならびに長寿命化に貢献。2025年度に年間600万個の生産を目指す。

     流体動圧軸受は電気自動車(EV)・電動化にともない、より高い静音性が求められる車載向けファンモータなどへの採用が拡大している。また、モバイル機器の高速化や高容量化、小型・薄型化が進むなか、装置に搭載されている冷却用マイクロファンモータ向け軸受には高速回転対応のほか、どのような姿勢で使用されても常に高い静粛性を維持することが求められている。

     開発品は小型でありながら高い油膜圧力を発生させることにより、高い静粛性と信頼性を実現。一般的な切削加工においては、内径1ミリメートル以下の動圧溝を加工することは困難とされているが、同社はプレス成形条件も見直すことで、従来サイズ(内径1・5ミリメートル)から半分以下にすることに成功した。また冷却用マイクロファンモータは、風量を上げることで耳障りな音が発生しやすくなるのが課題とされているが、開発品を使用することで高い静粛性を実現することが可能となる。
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