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  • TDK、温度センサー、基地局光トランシーバー提案
  • 2023年10月31日
    • NTCWSシリーズ(新製品)
      NTCWSシリーズ(新製品)
     TDKは温度センサーで基地局需要を取り込む。同社は電気抵抗値から温度を測定するNTCサーミスタを取り扱っており、このほど長さ・高さが1ミリメートル以下の極小でありながら、抵抗値公差プラスマイナス1%を実現した新製品を完成させた。これを基地局に搭載され、厳格な温度管理が必要となる光トランシーバー用途に新提案する。5G(第5世代通信)、6Gと進化するにつれ熱管理が厳格になるため、同製品の需要も連動して高まるという。今秋から、にかほ工場南サイト(秋田県にかほ市)で量産を開始し、月産100万個を見込む。大量生産による価格競争力でも市場に攻勢をかける。

     TDKはNTCサーミスタを含む温度センサーを自動車や家電、IT、産業機器、医療機器などに幅広く展開している。近年では電気自動車(EV)関連用途が拡大しつつある。NTCサーミスタは、温度センサーの素子として使われる。ガラスの中に小さなセラミック素子が入っており、それが温度を検知する。自動車などで実績・ノウハウを重ねており今回、新規に基地局関連に商機を見いだした。

     このほど開発を終え量産を開始したNTCサーミスタ「NTCWSシリーズ」は、長さ0・3ミリメートル、高さ0・25ミリメートルほどの極小サイズでありながら、抵抗値公差をプラスマイナス1%に抑えることに成功した。例えばエアコンに搭載し、25度Cの室温にしたい場合、誤差はわずか0・3度Cにすぎない。ほぼ正確に指定した温度に制御できる。

     こうした強みを生かし、基地局・光通信需要を取り込む。基地局に搭載される光トランシーバーは、電気信号と光信号を相互に変換させる光送受信機として機能する。点滅のたびに発熱するため、一定の温度以下でレーザーダイオードを管理する必要がある。高温状態を放置すると通信精度が低下する。

     TDKのNTCWSシリーズは極小な素子のためレーザーダイオード近くにAu(金)ワイヤーボンディングで取り付けられる。ほぼ正確に温度を捉え、一定の温度以上になれば冷却モジュールでレーザーダイオードの温度を下げ、高い通信品質を保てる。熱源の近くで高感度に検知できる点が強み。ハンダ工程は不要。

     性能だけでなく、大量生産体制を構築することでも競合との差別化を図る。にかほ工場南サイトで月100万個を量産する方針だが「需要が増えれば100万個以上の生産も考えている」(同社)という。光トランシーバーに加え、自動運転や先進運転支援システムで使われる高精度センサー「LiDAR」のレーザーダイオードにも適用を見込む。
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