•  スタートアップのデータケミカル(東京都渋谷区)は10月31日、実験・製造データ解析のAI(人工知能)・機械学習クラウドサービス「データケミカルラボ(Datachemical LAB)」に、有機化合物などを分光学的手法で測定した「スペクトルデータ」の処理機能を追加したと発表した。スペクトルデータに含まれるノイズ低減とベースライン補正を一括で行い、スペクトルの重要な情報を的確に抽出できる。

     金属やゴム、薬品などの材料分野では、分析装置を用いスペクトルデータを取得し、材料の組成や物性、性状を解析している。従来の解析は熟練技術者が目視で行いスキルが必要で、知見や経験がない場合には重要な因子に気づかないことがある。AI・機械学習を利用する場合もスペクトルデータに含まれるノイズやベースラインのずれを誤って学習し、信頼性のある結果が得られないケースがある。

     データケミカルラボは、研究開発現場の技術者がプログラミングなしに容易に機械学習を活用して材料開発を促進できるクラウドサービス。今回の新機能は、データの平滑化法の一つであるサビツキーゴーレイ(SG)法を用い、機械学習に適した形でスペクトルデータを処理できる。

     分析装置から出力される数値データを基に従来個別処理が必要だったスペクトルデータのノイズ低減とベースライン補正を1つの操作で行う。さらにピーク以外にも強度や吸光度の極大値などの重要な情報も的確に抽出できる。処理後のスペクトルデータを基に、データケミカルラボ内の特徴量選択機能を使えば、重要なスペクトル領域のデータに絞って機械学習し、これまで属人的だったスペクトルデータ解析を効率化することができる。
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