• 環境課題
  • 三菱ガス化、PFASフリー透明PIの採用増へ
  • 2023年11月7日
    • ネオプリムをワニスで供給する
      ネオプリムをワニスで供給する
     三菱ガス化学は次世代ディスプレイのさまざまな用途で透明ポリイミド(PI)の実績化を目指す。有機フッ素化合物(PFAS)フリーであることが最大の特徴。独自技術によってフッ素系モノマーを使わずに透明PIを実現した。高耐熱や高弾性、低複屈折といった各グレードで評価を進めており、フォルダブルデバイスを含む次世代ディスプレイのニーズを取り込む。

     三菱ガス化学は透明PI「ネオプリム」を手がける。一般的な透明PIは無水ピロメリット酸(PMDA)などのPI原料をフッ素系モノマーに置き換えることで透明化を図っている。一方、同社はPMDAを水素化した独自の「HPMDA」をPI原料に用いることで透明かつPFASフリーを実現した。商業化されている透明PIでPFASフリーはネオプリムだけとみられ、足元で引き合いが強まっている。現在、ネオプリムシリーズの約95%がPFASフリー品で、残りの5%もPFASフリー品に切り替えられる技術開発にめどをつけているという。

     次世代ディスプレイ向けに複数の新規グレードを提案する。一つは高耐熱グレードで約450度Cのプロセス耐熱性を持つ。次世代ディスプレイで透明性が要求される用途で評価が進み、早ければ2025年ごろに実績化する可能性がある。

     高弾性グレードのターゲットは、フォルダブルデバイスのカバー用途。現在は超極薄ガラスなどが使われており、透明PIへの置き換えを狙う。とくにタブレットやノートPCなど中型パネルでフォルダブルデバイスを設計する場合は、超極薄ガラスではなく透明PIをカバーに用いる方が使いやすいとみて、提案活動を強化していく。

     そのほか画像乱れの抑制につながる低複屈折グレードもラインアップしており、これらのPFASフリーのディスプレイ材料で市場開拓を進める。

     既存のディスプレイ材料は一部でPFASが含まれており、PFASを使わない次世代ディスプレイ材料のニーズが高まっている。JSRはPFASフリーの平坦化膜、画素分離膜(バンク材)を開発し、サンプルワークに取り組む。PI大手のUBEもPFASフリーの材料開発を進めている。
いいね

  • ランキング(持続可能社会)