• 医薬・医療
  • 日東電工、米オハイオで核酸医薬CDMO再増強へ 開発初期囲い込み
  • 2024年6月12日
    • 再増強の検討に入ったシンシナティ工場
      再増強の検討に入ったシンシナティ工場
     日東電工は、核酸医薬開発・製造受託(CDMO)事業で、研究や臨床初期向けの原薬を製造する米オハイオ州シンシナティ工場の再増強に向けた調整に入った。開発早期の初期案件の一層の囲い込みを狙い、2024年度にも完工する増強工事に続いて来期にも再増強に着手する。医薬品製造・品質管理基準cGMP対応の中量製造エリアの拡張を計画する。東北事業所(宮城県大崎市)では、24年度中にも核酸に機能性リガンドを導入した修飾核酸の提供体制を整え、顧客ニーズに応じた新規合成に踏み出す。日米拠点を質量双方で底上げし、世界トップシェアの地位を固める。

     シンシナティ工場は、主に開発の早期案件の少量多品種生産を手がけ、non-GMPの25ミリグラム~30グラムの研究用核酸原薬の製造をはじめ、cGMPの100グラム規模までの中量品に対応してきた。旺盛な需要に応えるべく、23年度にはcGMP製造に関連する設備増強として生産スループット(単位当たり処理能力)向上のための投資に着手し、今年度中の完工を予定。さらなる追加投資では、主に、前臨床から臨床試験初期に用いる中量製造エリアを拡張する。25年度の建設着工、26年度内の完工を目指している。

     初期案件を手がけるシンシナティに対し、マサチューセッツ州のミルフォード工場では臨床後期や商用薬向けを製造し、23年度には新工場を立ち上げて原薬製造用ラインなどを増強した。シンシナティの増強で初期案件からの顧客獲得に弾みをつけ、臨床後期や商業生産の受託につなげる戦略。

     核酸合成用材料の架橋ポリスチレン担体「ニトフェーズ」を製造し、核酸原薬も少量合成してきた東北事業所では、今年度からスタンダードな化学修飾に加え、顧客ニーズに応えるカスタマイズ型の核酸合成に踏み出す。

    • 東北事業所では、先端ニーズに対応した体制整備を進める
      東北事業所では、先端ニーズに対応した体制整備を進める
     核酸医薬の開発の先進地である米国のシンシナティやミルフォード拠点では、これまで1000配列以上の製造実績を重ねており、核酸にペプチドや脂質、抗体などさまざまな機能性リガンドを加えて機能を高めたコンジュゲーションサービスを展開してきた。日本国内でもカスタマイズ需要が増大してきたことから、東北事業所でも米国の知見やプロセスを用いて複雑化する核酸の合成に応える。

     具体的には、研究や非臨床試験に用いられるnon-GMPの少量スケールでコンジュゲーションサービスの展開を計画する。顧客独自のアミダイト(オリゴヌクレオチドを製造する際の出発原料)を用いたり、抗体やペプチド、その他多様な化合物など新規性の高いコンジュゲーションに対応すべく、体制整備に向け設備や人員を拡充していく。
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