前処理膜(左)・清澄化膜モジュールを開発した
東レは、遺伝子治療薬製造向けろ過用フィルターの国産化に乗り出す。不織布や中空糸膜技術、たんぱく質の付着を抑制する低ファウリング技術を生かして開発した高効率分離膜モジュールを今月発売し、遺伝子治療薬の製造技術を構築している顧客に導入された。2026年度中にGMP(医薬品の製造・品質管理基準)対応や膜面積ラインアップの拡充を図り、本格事業化を進める。国内外の製薬企業や開発・製造受託機関(CDMO)に効率生産や国内安定供給の面を訴求し、草創期の市場で開発早期段階からの採用を狙う。
長田所長(左)は「市場の変化点を捉え、新技術で参入できるところから入っていく戦略だ」と方針を述べた
遺伝子治療薬の製造工程中で有効成分以外の細胞片などを除去するプロセス向けに、前処理膜・清澄化膜モジュールを開発した。他社従来品と比べろ過性能を4倍以上に高め、モジュール容積を約5分の1に小型化しており、省スペース化やバッファー(緩衝液)使用量の低減につながる。「トレミクロン」などのエアフィルターの不織布技術や、人工腎臓(ダイアライザー)開発で培った中空糸膜技術を融合し、有効成分の透過性能と不純物除去性能、回収率を向上させた。遺伝子治療薬製造における生産性の課題解決に寄与する。
遺伝子治療薬向けの精製フィルターは海外製品に依存するなか、東レは血液透析膜などの製造実績がある岡崎工場(愛知県岡崎市)で製造する。19日に開いた記者会見で、先端材料研究所の坂口博一主席研究員は「遺伝子治療薬の精製用フィルターの国産品として初めて」と説明した。今後は抗体薬物複合体(ADC)や次世代ワクチンなど新規モダリティ(治療手段)向けにも展開する。同研究所の長田俊一所長は「市場の変化点を捉え、新技術で参入できるところから入っていく戦略だ」と方針を述べた。