ワクチン製造j拠点等の整備概略図
経済産業省は、バイオ医薬品の国内製造基盤強化に向けて新たな支援策を検討する。製薬企業が国内CDMO(医薬品製造開発受託企業)や国産部素材を活用する際に補助金を支給する。国内CDMOや部素材メーカーは新規参入が多く、経験値が少ないことから受注獲得が難しい状況にある。政府が初期案件に限って補助金を支給し、製薬企業に採用を促すことで、国内CDMOや国産部素材の実績作りを支援する考えだ。高市政権の成長戦略策定に向け、現在検討中の「合成生物学・バイオ」の官民投資ロードマップ(工程表)に盛り込む方針。
経産省は3000億円規模の基金事業である「ワクチン・デュアルユース補助金」によって、平常時は企業ニーズに応じたバイオ医薬品を製造し、パンデミック発生時にはワクチン製造へ切り替えられるデュアルユース製造拠点の整備や、そこで用いるシングルユースバッグなど部素材の国産化を支援してきた。ただCDMO事業や部素材事業とも、品質、安全性など高い信頼性が求められるため、製薬企業は受託実績がある企業を選択する傾向がある。そのため新規参入の国内CDMOや部素材メーカーは実績を積むことができず、ビジネスが軌道に乗りづらい。トランプ関税によって製薬企業が自社医薬品を米国内で製造する動きを加速していることも、国内CDMOには逆風となっている。
経産省は、国内CDMOおよび国産部素材のビジネスを軌道に乗せるため、初期需要創出に向けた補助金を新たに設ける。具体的には、製薬企業が国内CDMOおよび国産部素材を活用した場合、最初の案件に限って補助金を支給する。CDMO活用では、治験薬製造案件、商業製造案件で補助率を変える。まずは2026年度から開始できるよう、3000億円規模の予算を確保ずみの「ワクチン・デュアルユース補助金」の残金である数百億円を用いる方向だ。支援対象も、同補助金で採択したCDMOや部素材を活用する製薬企業となる見込み。受託実績が積み上がり、ビジネスが軌道に乗ったあとは収益の一部を基金に還元する循環型スキームも検討する。
国内CDMOや国産部素材だけでなく、国内製薬企業のバイオ医薬品生産拠点の増強支援も検討する。予算は「ワクチン・デュアルユース補助金」の残金ではなく新規要求も考える。
高市内閣は成長戦略において、戦略分野として掲げる17分野に対し、官民連携での危機管理投資・成長投資を促すことで「強い経済」の実現を目指している。経産省はバイオ医薬品の国内製造基盤強化を危機管理投資の一つとして位置づけ、成長戦略へ反映を目指す考えだ。