• 50年前の開設当時の滋賀工場
      50年前の開設当時の滋賀工場
     <工場ルポ>

     各種接着剤やシーリング材などを手がけるコニシ。西の要衝である滋賀工場(滋賀県甲賀市)は今夏に開設50周年を迎えた。今後も安定操業を続け、供給責任を果たすとともに、100周年に向け、さらなる成長を遂げていく。

     1971年、コニシはさらなる拡大に向け、新工場を設立しようと用地探索に乗り出した。「当社の祖、2代目小西儀助の出身地で、当社の発祥の地といっても過言ではない滋賀県彦根市に近く、かつ交通の便のよいところに工場を設けたい」という当時の社長だった故小西信一郎氏の思いから、滋賀県内を中心に探していたところ、水口工業団地内に敷地面積約4万4000平方メートルの広さの土地を発見。すぐそばに国道1号線が走っていることもあり、72年7月に取得した。鋼材やセメントなど建設資材の不足といった影響を受けながら73年8月、滋賀工場が完工した。

     当初、滋賀工場では第1水性製造所と第1E系製造所で水性酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形、エポキシ樹脂系、樹脂系溶剤形などの各種接着剤と、ポリサルファイド系、ポリウレタン系などのシーリング材を製造していた。その後、生産能力の増強や生産品目の拡充にともない製造棟を増設。79年に第2水性製造所、81年に第2E系製造所、84年に第3水性製造所、89年に第2シーリング材製造所などを順次立ち上げた。

     2001年には隣接地を購入し、敷地面積が約9万3200平方メートルに広がった。新たに取得した用地は長らくグラウンドなどとして利用してきたが、14年9月に自前の物流拠点「滋賀物流センター」を竣工させた。同センターは危険物倉庫2棟と通常倉庫1棟でスタートしたが、18年には水性接着剤などを保管するコンテナ自動ラック倉庫を稼働させた。

     滋賀工場では現在、一般家庭用をはじめ、戸建て住宅の内外装用、マンション・ビル建造・補修用、ショッピングバッグ用、紙管用、育成に力を入れて取り組んでいる自動車関連・電子部品・集成材用、さらにはインフラおよびストック市場の補修・改修・補強工事用などの各種接着剤を生産。接着剤以外ではシーリング材、離型剤も扱う。第1水性製造所の立ち上げ時に設置した、当時「東洋一の大きさ」といわれた容量16トンと同21トンの反応釜は今も現役として活躍している。
    • 現在は物流拠点も有する
      現在は物流拠点も有する
     <徹底的に効率化>

     滋賀工場は半世紀が経過し建屋、製造設備の更新が必要となる時期が来る。次の50年に向け、さらに発展させていくうえで設備投資を行う栃木工場(栃木県下野市)を参考にする。水性接着剤は現在、滋賀工場のみで生産しているが、栃木工場でも作れるようにと製造所の新設を進めている。栃木工場に設ける水性接着剤の製造所は生産工程、容器への充填、入出庫作業を自動化するとともに、倉庫を併設するなど徹底的に効率を追求。滋賀工場では栃木工場をモデルケースに進化させていく。(池田旭郎)
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