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  • 出光興産-三井化学、千葉のエチレン設備集約 27年度めど
  • 2024年3月28日
    • 27年度をめどに停止する出光興産千葉事業所のエチレン設備。三井化学の設備に1基化する
      27年度をめどに停止する出光興産千葉事業所のエチレン設備。三井化学の設備に1基化する
     三井化学と出光興産は27日、千葉地区に保有するエチレン設備を集約すると発表した。2027年度をめどに、出光の設備を停止し、三井化学の設備に1基化する。内需縮小に加え、中国を中心とした大型石化装置の新増設で事業環境が大きく悪化するなか、設備を統合し最適化する。国内石化産業の抜本的な構造改善は必須で、新たにエチレン設備の停止や川下設備の統廃合など業界再編に向け動き出した。

     千葉・京葉地区に立地する定期修理実施年生産能力37万トンの出光興産の装置を停止し、同55万トンの三井化学の装置に集約する。集約後は合弁会社を設立して共同運営することなどを選択肢として検討する。

     日本のエチレン設備の停止は16年に水島地区で旭化成が三菱ケミカルグループと合弁を組み設備を統廃合して以来。

     出光のエチレン設備のオレフィン誘導品はα-オレフィン、スチレンモノマー(SM)、ポリプロピレン(PP)。集約に向けて、それら誘導品の設備と三井のエチレン設備を、パイプラインで接続することも検討する。

     三井と出光は10年に千葉ケミカル製造有限責任事業組合(LLP)を設立し、京葉地区に両社が保有するエチレン装置の運営を統合。原料選択や設備稼働の最適化、共同合理化投資などを行ってきた。エチレン設備の集約で連携を一段深め、競争力の強化を狙っていく。

     石化の国内市場は、人口減少などにともなう需要の縮小に加え、中国の増産投資が止まらず厳しい事業環境が続く。エチレン設備の稼働率は好不況の目安である90%を19カ月連続で割り込んでいる。中期的にも大きな好転は望めないとみられている。

     さらに世界的にカーボンニュートラル(CN)社会の実現が推進されるなか、二酸化炭素(CO2)の排出量削減と資源循環を目指した次世代のコンビナート構築が求められている。そうしたなか、各社は既存のエチレン設備を停止する抜本的な構造改革の検討に乗り出している。

     国内で12基あるエチレン設備のうち、京葉地区は、三井化学(年55万トン)、出光興産(37万トン)、丸善石油化学(48万トン)、京葉エチレン(丸善石化55%・住友化学45%出資、69万トン)と4基あり、日本の生産能力の約3分の1を占める最大地区。昨年から三井化学、住友化学、丸善石化の3社はCNの実現を目指しタッグを組む方向で、ここに出光が加われば4社によるCN志向の次世代コンビナートへの転換が加速する可能性が高まる。同時にエチレン設備や川下の石化設備の最適化・統廃合の検討へ発展することが期待される。
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