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  • 化学各社が入社式 混迷の時代、未来切り開く力に
  • 2024年4月2日
    • 三菱ケミカルグループは新入社員の歓迎とキャリアスタート初日のイベントとして「キャリアキックオフセッション」を開催
      三菱ケミカルグループは新入社員の歓迎とキャリアスタート初日のイベントとして「キャリアキックオフセッション」を開催
     新年度の仕事始めとなった1日、化学各社が一斉に入社式を開いた。世界経済はコロナ禍から脱したが、収束の気配を見せないウクライナ侵攻、パレスチナの武力衝突、米中対立など世界は分断が進み、地球規模の課題である気候変動などその深刻度は増している。危機が幾重にも層をなし、混迷を深める世界において、立ちすくむのでなく積極的な課題解決に貢献してほしい。企業トップから新入社員への激励の言葉が送られた。

     三菱ケミカルグループは、新入社員の歓迎とキャリアスタート初日のイベントとして「キャリアキックオフセッション」を開催した。田辺三菱製薬大阪本社と国内9拠点をオンラインでつないだハイブリッド形式で実施。三菱ケミカルGから87人、田辺三菱から38人の新入社員125人が会場参加したほか、国内9拠点から約30人がオンラインで参加し、今後のありたい姿やキャリアを考え、全員で共有する機会とした。

     同日に就任した筑本学社長は自社のパーパスやビジョンを説明したうえで「最も大事なのは皆さんがなぜこの会社で働くのか、また10年後にどうありたいかビジョンを明確に持つことだ」と強調。仕事に対しては「家業だと思って真剣に取り組み、仲間に感謝することも忘れず、人生を楽しんでほしい」と述べた。新入社員からの質疑応答も行われ、筑本社長は働くことの意味などを自身の体験談も交えながら応えた。

    • 東京本社で165人の新入社員に訓示を述べる住友化学の岩田社長
      東京本社で165人の新入社員に訓示を述べる住友化学の岩田社長
     住友化学は東京本社に165人を集めて開催した。岩田圭一社長は23年度は厳しい事業環境に置かれたとしながら「わが社は業績のV字回復、10年後、20年後もグローバルに存在感を示し続ける企業であるための構造改革を本格的に始動させた」と言及。カーボンニュートラルの目標年やデジタル技術の進展によるシンギュラリティ(技術的特異点)の到来は決して遠くない未来だとし、「GXやDXのトレンドにおいて、皆さんが未来へ至る道筋を作り出し、主役となって実現していくことを期待している」。

     本体所属社員として258人を迎えた三井化学。入社式は例年同様、全8拠点を結ぶオンライン方式と拠点ごとの対面形式の2部構成で開催した。橋本修社長は入社してしばらくは自身の役割に迷うかもしれないとしながら、「仕事の目的や意義に立ち返ってほしい。個々の仕事から顧客や社会にもたらす価値や自身の成長にとっての意味を見出すことは、自らのモチベーションを高める上でも大切だ」と強調。「三井化学になぜ入社をしようと思ったか。そこにキャリアの上での『Will、志』があり、重要な道しるべになる」と述べた。

     旭化成は初めて宮崎市で入社式を開催した。従来は延岡地区で開催し、コロナ禍はオンラインで対応していた。今回は延岡や水島、東京など6カ所をオンラインでつなぎ、全会場で500人超の新入社員が参加した。工藤幸四郎社長は力を注ぐ水電解による水素製造技術を取り上げ「当社は100年以上前に九州に水力発電所を建設し、その電気で水を電気分解して水素をつくり、アンモニア事業を始めた。当時から『グリーン水素』を扱ってきた歴史を思うと、グループの存在意義を考えずにはいられない」と話した。

     レゾナック・ホールディングスは都内で入社式を開催し、本社採用の152人が参加した。パーパス・バリュー経営の浸透を図ってきた髙橋秀仁社長は「私のパーパスは従業員がニコニコしながら楽しく働ける会社を作ること。今のキラキラした目の輝きを失わず、プロとして結果を残すという意識を持ち、自分が楽しいと思うことに取り組んでほしい」と述べた。
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