• 機能性材料
  • 日本ゼオン、単層CNTで帯電防止 半導体装置開拓
  • 2023年9月12日
    • 単層CNTは10月23日に開幕する「ケミカルマテリアルJapan2023オンライン」で紹介する予定
      単層CNTは10月23日に開幕する「ケミカルマテリアルJapan2023オンライン」で紹介する予定
     <ケミマテ’23>

     日本ゼオンは単層カーボンナノチューブ(CNT)を用いた帯電防止技術を半導体製造装置向けに提案する。シリコンウエハーに直接触れるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の樹脂パーツに単層CNTを少量添加し、帯電防止機能を付与する。半導体の微細化にともなって高レベルの静電対策が求められており、高性能の単層CNTを売り込む。薬液がバルブやチューブに流れる際に発生する電気も同様の処方で抑制できる。一部で採用が進んでおり、さらなる拡販を目指していく。

     日本ゼオンはスーパーグロース(SG)法を用いた単層CNTを手がける。多層よりも単層の方が性能に優れ、単層の中でもゼオンの単層CNTは高い性能を誇る。長尺のためアスペクト比が大きく、比表面積も1グラム当たり800平方メートル以上。純度も99%以上で不純物が少ないのが特徴だ。単層CNTとゴムの複合材料がOリングなどに採用されている。

     足元、採用が進むのが半導体製造プロセスの帯電防止用途。半導体製造装置でシリコンウエハーに直接触れる部分には、PTFEの樹脂部品などが使われる。絶縁体のPTFEに単層CNTをごく少量添加すると、導電性が付与され、帯電防止につながる。単層CNTを0・05重量%添加した場合、体積抵抗率は1000~100万オーム・センチメートルを示したという。カーボンブラックで同様の性能を得るには、2重量%の添加量が必要になる。

     シリコンウエハーの帯電防止対策はこれまでも行われてきたが、半導体の微細化が進むにつれ、装置内はわずかな静電気も発生しないことが求められつつある。SG法による単層CNTは高純度であるため、半導体製造装置に用いることが可能。少量の添加ですむため、PTFEの成形性を維持でき、溶出しにくいためクリーン度も保てる。

     半導体の製造プロセスで用いた薬液がバルブやチューブに流れる際も電気が発生しやすい。耐薬品性に優れるPTFEはこうした配管にも用いられており、同じ処方で帯電防止機能を付与できる。半導体製造装置全体に帯電防止機能を付与することで、歩留まり向上につながることが期待される。
いいね

  • ランキング(資源・素材)