•  ミルボンは23日、ヒトiPS細胞を活用した育毛成分の探索に取り組み、毛髪関連遺伝子の発現上昇を指標とする新たな効果成分を見いだしたと発表した。大阪公立大学の小澤俊幸特任教授とは、同成分がヒト毛包組織で毛髪の伸長を促すことも確認した。成果の詳細は、先月上旬にスペインで開催された化粧品技術を競う世界最大の研究発表会「第33回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)バルセロナ大会2023」で発表し、口頭発表応用部門におけるトップ10に選出された。

     毛髪は毛根部で髪の基となる毛母細胞が分裂・増殖することで徐々に伸びる。ただ、加齢による変化として毛母細胞自体が生まれにくくなることも報告されている。毛母細胞は毛包幹細胞が分化することで生まれるため、分化を促す成分を発見できれば新たなメカニズムでの育毛効果が期待される。

     しかし、毛包幹細胞は取り扱いが難しい。そこで今回、毛包幹細胞と同じく幹細胞の一種であるヒトiPS細胞を活用。毛髪形成に関する遺伝子の発現量を上昇させる2種の植物エキス(トウキ根エキス、モウソウチクたけのこ皮エキス)を見つけた。

     実際の育毛効果を確認するため、大阪公立大学の小澤特任教授を中心とした共同研究部門「薬物生理動態共同研究部門」で、手術後の余剰頭皮から単離・器官培養した毛根部の組織を用いた検証を実施。その結果、2種の植物エキスは毛髪を伸長させることが分かった。

     2種の植物エキスを配合した頭皮用美容液を毎日使って頭皮ケアを行ったところ、細毛の改善や抜け毛の減少効果も確認できた。分け目が目立たなくなった実効例や生え際の産毛増加もみられたという。ミルボンでは今後も高機能頭皮ケア製品の開発につながる育毛作用機序のさらなる解明に向けた研究を進めていく考えだ。
いいね

  • ランキング(健康社会)