大正製薬は、女性特有の健康課題を技術で解決する「フェムテック」市場の活況を好機と捉え、女性用発毛剤の販売拡大を図る。髪のボリュームや抜け毛に悩みを感じる女性は多く、年齢とともに薄毛が進行する「壮年性脱毛症」の可能性もある一方で、その症状や対策はあまり知られていない。市場が急成長する今、改めて正しい知識と早めのケアの重要性を発信する。男性用発毛剤で高いシェアを握る毛髪のパイオニア企業として、女性用でも市場を牽引していきたい考えだ。

　男性の壮年性脱毛症は、頭頂部や生え際から髪が薄くなっていくことが多いが、女性は頭頂部の分け目や前髪を中心に症状が出る。進行も緩やかなため、早い段階で自覚する人は少ない。

　同社が髪のボリュームに悩む３５～７４歳の女性を対象に行った調査では、８割が「自分が壮年性脱毛症ではない」と回答。女性用発毛剤の販売拡大には、壮年性脱毛症への正しい理解や発毛剤を用いた早めのケアを提案することがカギとみる。

　近年、女性のライフステージにおける心身の悩みを技術で解決するフェムテック市場が拡大。これを商機と捉え、このほど東京ビッグサイト（東京都江東区）で開催された展示会「フェムテックトーキョー」に出展。女性用発毛剤「リアップリジェンヌ」（容量６０ミリリットル、価格は５７６３円）を紹介した。

　同製品が、発毛効果が認められた成分「ミノキシジル」を配合した医薬品であることや、新しい髪を生み出すだけでなく健康な髪を育て抜け毛も防ぐ効果などを伝えた。フェムテック市場では、生理や妊活の課題をサポートする製品が注目されがちななか「発毛剤のプレゼンスを高めたい」（同社）と強調する。

　男性用の「リアップ」は、男性用発毛剤市場（店舗向け）で約８割のシェアを持つという。女性用発毛剤の市場規模はまだ小さいが、今後の成長を期待し、リアップリジェンヌも市場を牽引する製品展開を目指す。

　リアップリジェンヌの先発品「リアップレディ」では、成人女性の壮年性脱毛症患者を対象とした６カ月の使用後、太い毛髪および毛髪数の増加が認められた。リアップリジェンヌはリアップレディとの同等性を確認しているという。