• 新素材に形成したネットワーク構造のイメージ図
      新素材に形成したネットワーク構造のイメージ図
     花王は26日、洗髪など物理的摩擦に強く、毛髪へ潤滑性も付与するハイドロゲルの新素材を開発したと発表した。カチオンポリマーの一種で感触向上剤などに使われるポリクオタニウム-52と、アニオンポリマーの一種で食品用増粘剤などに使われるアルギン酸ナトリウムからなるハイドロゲルに、ポリエチレングリコールを加え、ゲル中に2種類のネットワークを形成したことを確認。原料を独自の方法で混合するだけのシンプルな工程で作製できるという。新素材は現在トリートメントに応用しており、今後はカラーリングなど幅広いヘアケア製品の開発などに生かす考え。

     ハイドロゲルは、水を含んだ高分子物質の総称で、架橋と呼ばれる網目状のネットワーク構造によって水分を保持している。一方、多くのハイドロゲルは物理的な摩擦に弱く、毛髪に使用した場合は洗髪で徐々に流れ落ちてしまうため、耐久性の改善が必要だった。

     こうしたなか花王は、強いネットワーク構造を有し、耐久性に優れる新たなハイドロゲルの開発に成功した。新素材を配合したトリートメントで毛髪上における耐久性を検証したところ、新素材の成分はキューティクル剥離部に集中的に残留し、生活を想定した1万回の摩擦や洗髪によっても残存したことを確認。髪の外側を覆うキューティクルは摩擦などで剥がれることもあり、新素材は“疑似キューティクル”となる可能性が示された。

     また、染毛による毛髪にダメージを与えた状態で新素材を配合したトリートメントを使った結果、1回の処理で高い潤滑機能を保持できたことも確認している。
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