• 経営
  • 大八化学、福井で低誘電型リン系難燃剤量産 来秋にも新設備稼働
  • 2024年4月12日
    • 低誘電型リン系難燃剤の量産プラントを新設する福井工場
      低誘電型リン系難燃剤の量産プラントを新設する福井工場
     大八化学工業(大阪市)は、低誘電型リン系難燃剤の量産プラントを新設する。総額約30億円を投じて福井工場(福井県福井市)内に専用プラントを設けることを決めた。2025年秋の稼働を計画している。5G(第5世代通信)をはじめデータ通信環境の高速化、大容量化に対応するためデータセンターや基地局向けの基板材料、基板に配合される難燃剤などの添加剤も誘電率および誘電正接が低い素材が求められている。大八化学はこれらに対応した低誘電型リン系難燃剤の研究開発に取り組み、すでに一部製品は採用されている。量産体制を整え拡大する需要に応える。

     低誘電型リン系難燃剤の安定供給を目的に、テクノポート福井に所在する福井工場に同剤専用のプラントを立ち上げる。今年5月に着工し、25年6月に完工、同年秋の操業を予定している。建築面積588平方メートル、延床面積1075平方メートルの広さを有するプラントを建設する。

     新プラントには計装機器通信管理システム、プラント情報管理システム、予兆保全システムを導入する計画。DX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れ、安定稼働と高生産性を実現する。

     5G、次世代移動通信システムであるBeyond 5Gなど高速・大容量通信技術が進展し、データセンターのサーバーや人工知能(AI)サーバー、基地局、基幹ルーターやスイッチといった通信機器なども最大通信速度の向上が要求されている。これを可能とする高周波数になるほど伝送損失が大きくなることから、半導体パッケージ基板やプリント配線板に用いられる材料には伝送損失を抑えられる低誘電特性が不可欠となっている。

    • 添加タイプの「SRー3000」は採用実績が上がり始めている
      添加タイプの「SRー3000」は採用実績が上がり始めている
     同特性は基板材料向け添加剤にも求められているため、大八化学はハロゲンフリーの環境対応型リン系難燃剤において誘電率と誘電正接が低い低誘電型の製品化に力を入れている。構造を工夫するなど培ってきたノウハウを駆使し、基板材料に使用される樹脂の種類や処方に応じて添加タイプ、分散タイプ、反応タイプの低誘電型リン系難燃剤を開発。添加タイプの「SR-3000」は、とくに耐熱性を必要とする樹脂基板で採用実績が増えている。
いいね

  • ランキング(経営)