開発品の生産を担うTPCCの工場
【バンコク=松井遥心】三菱エンジニアリングプラスチックスは、ポリカーボネート(PC)の高付加価値用途を開拓する。顧客であるレンズメーカーの要望を基に、パソコンやスマートフォンの閲覧時間増加などを背景に視力矯正眼鏡に普及してきているブルーライトカットレンズに適したPCを開発し、タイのグループ生産拠点で試作品の生産を始めた。評価中の顧客に採用が決まれば、タイで本格生産に入る。特定の光の波長を制御するニーズは幅広くあることから、保有技術を応用して製品の拡充を狙う。
目の疲れや睡眠の質の低下の原因に挙げられるブルーライトは、一般的に波長が380~500ナノメートルの光線を指す。紫外線(10~400ナノメートル)カットレンズ用PCを手掛けた実績のある同社では、その技術を生かして420ナノメートルまでのブルーライトをターゲットに開発。光線をカットする添加剤の配合量や添加剤同士の組み合わせなどを工夫し、レンズの透明性を維持しながら、レンズメーカーが求めるカット率に応じたPCを提供する。
三菱エンプラの技術センター(神奈川県)は小ロットの試作までを行い、スケールアップした試作は、三菱エンプラが60%出資し三菱ガス化学の連結子会社でもあるタイ・ポリカーボネート(TPCC)で行っている。今回は同社の現地研究スタッフも開発段階から関わり、製品化に貢献した。生産拠点である同社が開発に協力することで、素早く量産化に取り組めることが三菱エンプラの強みの一つだ。
TPCCで生産したサンプル品が現在、顧客からの評価を受けている。視力矯正眼鏡のレンズ用樹脂素材としては熱硬化性樹脂も普及しているが、ブルーライトカット仕様は表面コーティングであるため、表面が傷つくと性能に影響が出る可能性がある。レンズ本体にブルーライトカットの性能を付与するPCではその心配がなく、熱硬化性樹脂に比べ強度が高い利点もある。今回の開発品は、PC製レンズの使用比率が高く、安全のため高強度を求める傾向のある米国市場での需要にまず期待がかかる。
紫外線や赤外線なども含め、特定の波長をカットするニーズは、光学材料や車両の窓など、幅広い分野にある。三菱エンプラでは波長カットの技術を一つのプラットフォームのように捉え、他分野へも展開したい考え。