• 米ルイジアナ州沖の水深1500メートル超に設置された深海油田の浮体式生産ユニット。シェブロンとトタル・エナジーズが権益を持つ
      米ルイジアナ州沖の水深1500メートル超に設置された深海油田の浮体式生産ユニット。シェブロンとトタル・エナジーズが権益を持つ
     欧米の石油メジャー5社が、原油やガスによる確実な収益確保にいっそう軸足を戻しつつある。中長期的な収益源の確保に向け、深海油田や未開発地域での開発投資を再び拡大する動きが目立つ。脱炭素の戦略は洋上風力といった再生可能エネルギーから、液化天然ガス(LNG)や二酸化炭素の回収・貯留(CCS)など従来の油ガス事業とのシナジーが見込める分野へと重点が移る。

     欧米メジャー5社の2025年通期決算は、原油価格の下落を受け概ね減収減益だった。各社は中長期的な収益源の確保に向け、南米沖やアフリカ沿岸といった地質リスクが高い地域にも積極的に進出し権益取得を加速している。

     とくに米国系が際立つ。エクソンモービルは南米ガイアナで大型油田を相次いで発見した勢いを背景に、トリニダード・トバゴ沖やリビア沖の鉱区に関心を寄せるほか、南米北岸の新海域での探鉱活動を強化している。近年慎重姿勢を続けてきた米シェブロンも、25年以降はブラジル沖の深海域やアフリカ西岸の新興海域など複数の国で権益取得に動き、高リスク地域への挑戦姿勢を示し始めた。

     欧州勢でも上流回帰が広がる。仏トタル・エナジーズは、米メキシコ湾の深海権益に加え、南米スリナム沖の新規海上ブロックに参画。深海開発技術と低コスト生産を強みに、30年に向け年率3%の生産増を掲げて投資を継続する構えだ。英BPもメキシコ湾や北海など既知の地質で技術的優位がある地域を中心に、周辺探鉱や中核資産の権益強化を進め、確実に開発余地をひろい上げる戦略をとる。

     脱炭素関連では、再生可能エネルギー中心の戦略から、既存の油ガス事業と相乗効果を持つLNGやCCSへ重心が移っている。英シェルは25年に米国東海岸沖の洋上風力に関連して約10億ドルの減損を計上したのち撤退。代わってLNGを成長の柱に据え、30年まで年率5%の販売増を計画する。

     シェルとトタル・エナジーズはノルウェーの石油大手エクイノールと組みCCS事業を手がける合弁企業ノーザンライツに出資しており、25年に第1期の二酸化炭素(CO2)貯留を開始した。さらに第2期では約7億ドルの投資を最終決定し、CO2の輸送および貯留能力を28年度以降に年150万トンから500万トン以上に引き上げる計画。
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