• 機能性材料
  • 東洋紡MC、半導体向けに水溶性テトラゾール開発
  • 2025年11月12日
    • 水溶性テトラゾール化合物
      水溶性テトラゾール化合物
     <ケミマテ2025>

     東洋紡エムシーは水溶性のテトラゾール化合物を開発し、半導体分野で採用を狙う。テトラゾール化合物は粉末品が多く難溶性が課題だったものの、独自手法で水溶液とし安全かつ扱いやすくした。金属の防サビ、樹脂への密着性向上といった機能を生かし、CMP(化学機械研磨)スラリーや銅張積層板、エッチング液などへの展開を想定。半導体分野は微細化・多層化の進展にともない、銅表面の酸化制御や新素材との界面安定化が課題となっている。開発品は既存の防サビ剤では機能が不足する領域で強みが生かせるとみており、今後サンプルワークを広げ2030年の量産を目指す。

     テトラゾールは窒素原子を4つ含んだ複素環式化合物で、摩擦や衝撃、加熱により窒素などを放出分解する性質を持つ。多くは危険物第5類に該当する自己反応性物質。多機能である点が特徴で、エアバッグ用のガス発生剤で多く使われてきたほか、防サビ剤、エッチングやCMPスラリーの添加剤、また難燃剤などにも適している。

     東洋紡エムシーは年間50トン以上のテトラゾール化合物を製造する国内トップサプライヤー。エアバッグ用ガス発生剤を中心に展開してきたものの、近年は医薬・農薬、電子材料と市場を広げてきた。誘導体を含めるとこれまで150種類以上のテトラゾール化合物を開発し、分子設計の自由度を生かし顧客の要求特性に応じたカスタマイズを強みとしている。 
    • 高砂工場(兵庫県高砂市)内の製造設備
      高砂工場(兵庫県高砂市)内の製造設備
     こうしたなか同社は用途拡大の一環として、テトラゾールにトリエチルアミンを混ぜ中和反応させた水溶性の新グレードを新たに開発した。50%濃度の水溶液として提供することで、消防法上の危険物に該当せず、輸送・保管の負担を大幅に軽減させている。

     開発品は既存の粉末型と比べてほぼ任意の割合で水に溶けるのが特徴で、半導体製造におけるCMPスラリーや洗浄液、エッチング液など水系工程での利用も見込む。とくにCMP工程では、銅など配線金属の表面を平滑化する際に発生する腐食を抑える効果が期待される。開発品は、電子材料向けの添加剤として広く使われるベンゾトリアゾールと比較して金属表面への吸着力が高く、より強固な防サビ膜を形成する一方、工程によっては容易に剥離できるという特性も持つことを確認。これにより、金属保護と剥離制御の両立が求められる半導体製造プロセスでの展開も視野に入れる。

     テトラゾール化合物は銅と樹脂の密着性を高める機能も持つ。金属配線層と絶縁樹脂層の間に薄い有機膜を形成し、異種材料間の接着性を向上できることから、半導体封止材や積層基板など樹脂と金属の界面制御がカギとなる用途への展開も目指していく。同社の開発担当者は「銅だけでなく、コバルトなどの金属の応用も可能」とし、現在複数のメーカーで評価が進んでいるという。近年の半導体製造工程では、銅やコバルトなど複数金属が使われるなか、金属腐食を制御する薬剤の高度化が進んでおり、新素材で市場を開拓していく。

     同社は27~28日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される化学総合展「ケミカルマテリアルジャパン2025」に出展し、水溶性テトラゾール化合物を初紹介する予定。
いいね
電子版無料トライアル

  • ランキング(資源・素材)