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  • 荒川化学、環境対応や高速通信の新素材開発
  • 2025年11月13日
    • ナノインプリント用UVリソグラフィー材料は、微細構造の形成に適している
      ナノインプリント用UVリソグラフィー材料は、微細構造の形成に適している


     <ケミマテ2025>

     荒川化学工業は環境対応や創薬、デジタル領域などをターゲットとした新素材を相次ぎ開発し、市場ニーズを探る。とくに二酸化炭素(CO2)吸着剤、5G(第5世通信)など高速通信向け低誘電材料、ナノインプリント用紫外線(UV)リソグラフィー材料、低毒性ポリジメチルシロキサン(PDMS)親水化剤の4品に注力していく。各製品は研究開発段階から実用化を見据えており、今後は素材の特性評価や顧客フィードバックを重ねながら社会実装を目指していく。

     CO2吸着剤は、CCUS(CO2の回収・利用・貯留)技術との連携を視野に開発した。従来のアミン系吸着剤と比べて、高分子系の材料を採用したことで耐熱性・耐酸化性に優れ、低温でもCO2の脱着が可能である点が特徴。これによりエネルギー消費を抑えつつCO2の回収効率を高めることが期待される。現状はラボレベルでの試作・評価が中心で、今後は装置メーカーとの連携により実用化への道筋を模索していく。CO2排出削減ニーズが高い産業分野への適用を目指す。

     5Gなど次世代通信規格向けの低誘電材料としては「LDAシリーズ」を開発し、高周波電波の伝送ロスを抑制する用途で商機をうかがう。低誘電率・低誘電正接に加え、透明性や各種難密着素材への密着性を確保した点が特徴だ。これによりフィルム型回路などの積層用接着剤としての利用や基地局、モバイル端末における高周波部材への応用も見込まれる。LDAシリーズは開発初期段階とし、今後は各種展示会を通じて顧客評価を拡大する考え。次世代通信インフラの進展に合わせるかたちで需要を探っていく。

     ナノインプリント用UVリソグラフィー材料は、光硬化性樹脂を基盤とした技術の応用展開となる。微細構造形成に適した材料で、光学部品や微小センサー、半導体パターン形成など精密加工が求められる領域での利用を見据える。今年度にサンプル提供を開始し、展示会などを通じ顧客評価を広げる計画。エッチング耐性の異なるグレードをラインアップし、いずれも1液タイプでウエハーやガラスへの密着性に優れる。

     PDMS親水化剤は、従来品を改良し低細胞毒性化を図った。同社はマイクロ流路と呼ばれる微細な経路で構成されるデバイスに対して、水が流路に通りやすくなるPDMS親水化剤と呼ぶ製品を展開してきた。流路の構成材料のPDMSで型を作る際に親水化剤を混ぜるだけで親水性を付与できる内添型が特徴だ。一方、マイクロ流路における細胞培養用途では、材料中の不純物が細胞毒性の原因となるケースがあり、応用範囲を制限していた。こうしたなか同社は製品の設計を見直し、低溶出とすることで創薬や試験用マイクロ流路への適用を実現。大学や企業の研究部門での評価も進み、有償サンプルの提供も開始している。

     これらの開発品はCO2回収や創薬、次世代通信といった成長分野に関連しているため、将来的な事業拡大のポテンシャルを秘めている。実用化につなげることで次世代技術や環境対応製品へのシフトもより加速させていく考え。

     荒川化学は11月27~28日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される化学総合展「ケミカルマテリアルジャパン2025」に出展し、今回の開発品なども紹介する。
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