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  • 三菱ガス化学、米テキサスで超純過水倍増強
  • 2024年4月11日
    • 増強するMPCAテキサス工場
      増強するMPCAテキサス工場
     三菱ガス化学は10日、米テキサス州で半導体の製造工程で使用される超純過酸化水素(超純過水)を増強すると発表した。年産能力3万5000トンの製造設備を増設し、2025年6月に生産を開始する予定。投資額は明らかにしていない。米国ではオレゴン州拠点を増強中。大手顧客が大型投資で工場建設を進める市場で供給力を高め、伸長する需要に対応する。

     米子会社MGCピュア・ケミカルズ・アメリカ(MPCA、アリゾナ州)のテキサス工場で超純過水と超純アンモニア水(超純安水)を増強する。同工場は19年に生産を開始。増設した設備が稼働すると超純過水の生産能力は現有から倍増するとみられる。超純安水の能力は年5000トン引き上がる。

     MPCAは、アリゾナ、オレゴン、テキサスに工場を有し、超純過水の現有の生産能力は年14万トン。外部調達した過酸化水素の精製で超純過水を製造している。今回のテキサス工場の拡大策に先行して、オレゴン工場で超純過水年3万5000トンの増強中。半導体工場の建設が進む米国で、顧客や市場の動向に応じて能力を引き上げ、需要を取り込む。

     超純過水と超純安水は、主に半導体のウエハーやデバイスの製造工程で、洗浄剤・エッチング剤・研磨剤として使用される。半導体の微細化にともない、より高品質な薬液要求が高まるなか、三菱ガス化学は、米国のほか、四日市(三重県)、山北(神奈川県)、佐賀、韓国、シンガポール、台湾に工場を構える世界最大手。また、半導体製造工程で使用される機能性薬液も手がけている。

     半導体は5G(第5世代通信)や人工知能(AI)、IoT、クラウド、車載など用途が広がり、世界市場は長期的な拡大が予想される。経営資源を厚く投じて供給力を高めて成長する需要に対応するとともに、半導体製造向け電子工業用薬液のトップメーカーとしてのプレゼンスを一層強固にする。
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