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  • 東レ、インドでエアバッグ基布5割増 グジャラートに新設備
  • 2024年4月15日
    • 伸びるエアバッグ需要に対し、まず既存工場の増強で対応する
      伸びるエアバッグ需要に対し、まず既存工場の増強で対応する
     東レは、インドで自動車エアバッグ用基布を増産する。西部グジャラート州の工場ですでに増強工事を進めており、生産能力を従来比でおよそ5割増やす。新設備は2025年度の稼働開始を目指す。同国は昨年、乗用車の新車販売が初めて400万台を突破するなど高い市場成長を見せている。加えて、義務化されているフロント部分だけでなく、サイドエアバッグの搭載機運が高まっていることも追い風となっており、インド国内唯一の基布メーカーとして伸びる現地需要を取り込む体制を整える。26年度以降の次期中期経営課題では、さらに大規模な増強を判断したい考え。

     ナイロン原糸を使ったエアバッグ基布の生産を手がける子会社トーレ・クスンガー・アドバンスト・テキスタイル(TKAT)の既存拠点を増強する。工場内に新たな建屋を建設し、新設備を導入する。

     世界第3位の自動車市場のニーズに応える。インドでは昨年の乗用車販売台数が前年比8・2%増加し、右肩上がりで市場が拡大している。徐々に乗用車の普及が進むなかで、事故時の安全性を求める意識も高まってきており、エアバッグ需要につながっている。

     昨年10月には新たな安全性評価システムがスタートした。衝突試験はこれまでも含まれていたが、新システムでは試験結果を基にして試験を受けた車種の安全性を5段階で評価して公表することから、日系や韓国系の自動車メーカーを中心にエアバッグの搭載数を増やす傾向にある。すでに義務化されている運転席と助手席のフロント部分のエアバッグに加え、今後は側面衝突に対応するサイドエアバッグ・カーテンエアバッグの需要が拡大する見通し。

     TKATはインド国内唯一のエアバッグ基布メーカーで、産業用生地を手がける地場企業のクスンガーも一部出資する。末永繁一在インド国東レ代表兼東レ・インダストリーズ・インディア会長によると、「エアバッグメーカーは大規模な増設を始めていて、基布についての供給要求がどんどん来ている」という。

     今回の増強だけでは各種エアバッグの需要拡大には対応しきれないとみており、さらなる増強を目指す方針。そのためには新たに用地を確保する必要があり、同国南部チェンナイ近郊のスリ・シティ工業団地に位置する東レグループの拠点も候補の1つに入れ、検討を始めている。
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