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  • 群栄化学、電材用樹脂の新工場着工
  • 2024年6月13日
    • 有田社長
      有田社長
     群栄化学工業は、電子材料用樹脂の新工場を設ける。フォトレジスト向けのノボラック型フェノール樹脂を3割増強したばかりだが、「今後の成長を見越すととても間に合わない」(有田喜一郎社長)ため、2026年初めの稼働を目指して新工場の建設に着手した。投資額は35億円。新工場での具体的な生産品目については「顧客との秘密保持契約の関係でいえない」としているものの、現在主力のi線向けにとどまらず周辺材料を含めて展開していく方針だ。レジスト用ベースポリマーを含む電材用樹脂は、旭有機材が日中で投資を継続しており、住友ベークライトも昨年の静岡拠点での増強に続く投資を検討中。DICも昨年、カナダのメーカーを買収するなど、有力メーカー各社が成長市場に積極的に手を打っている。

     群栄化学は本社の立地する群馬工場(高崎市)に新工場を建設する。前回の投資は、10億円を投じてノボラック樹脂の反応釜などを増強したもので、昨年完工したものの、昨年度は半導体向け市場がレガシー、先端ともに市況悪化で低調。ディスプレー関連も有機EL向けは液晶からの置き換えが進み堅調だったものの液晶向けは低迷するなど、増設設備の戦力化が遅れていた。

     しかし、「半導体市場は今後加速度的に拡大する」として大型投資に踏み切る。ノボラック樹脂を生産するかも含め、新工場の生産品目は非公開だが、同社は一昨年の段階で、「電材用途の7割ほどがi線関連だが、フッ化クリプトン(KrF)や多層膜などの半導体周辺材料も3割を占め、極端紫外線(EUV)関連についても開発に取り組んでいる」としている。これまでの先端材料分野での開発強化を通じて多数の顧客との取引が拡大しており、今回の投資では「従来のビジネスに限らず、これから挑戦していく部分も含む」ため、新工場稼働による生産能力の拡大幅についても言及していない。

     新工場では、従来以上の高品質・低メタル・省人化をコンセプトに、特定分野の市場ニーズに対応し、一層の事業拡大、技術向上を図る。i線レジスト向け樹脂もパワー半導体や車載デバイス、センサーなどの市場拡大が見込まれており、有機EL向けもスマートフォンに加え、今後はタブレット向けの拡大にも期待。今後も重点分野として積極展開を図る方針だ。

     同社は今年度までの3カ年中期経営計画を推進中。3カ年の設備投資額は当初55億円の計画だったが、今回の電材用樹脂の投資や、高機能ノボラック繊維「カイノール」の相次ぐ増強により、当初計画の2倍の規模に拡大している。
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