山田哲也社長
タイでアルミ圧延工場を運営するUACJタイランド(UATH、山田哲也社長)は、タイ政府や現地企業と連携しながらアルミ缶リサイクルに注力している。タイのラヨン製造所では、域内各国から回収された使用済み飲料缶(UBC)を受け入れる体制を構築し、アルミを環境にやさしい素材として普及を進めている。
山田社長は、「われわれの働きかけもあって、タイ政府にもアルミを再利用する重要性を理解いただいている」と手応えを語る。UATHでは、タイ政府の天然資源省や現地の缶メーカー、容器回収業者などと締結した覚書のもと、UBCの選別や塗装を焼き飛ばすデラッカリングを手がける現地企業とも連携しながら、CAN to CANのクローズドループ・リサイクルの取り組みに本腰を入れている。
既に成果を出しており、タイの観光地の1つであるタオ島では覚書を締結する以前はビール容器の大半がガラス瓶だったのが、昨年度にはほぼ全てがアルミ缶に置き換わった。「今年度には近郊のパガン島でも取り組みを進め、タイ全土にアルミ化を拡げていく」と意欲を示す。
UATHは、2014年の設立以降、大型投資を相次ぎ行い、アルミ圧延工場としては世界最大規模の設備を誇る。年間生産能力は32万トンを有し、24年度は30万トン以上を売り上げた。21年度をピークに新型コロナや世界的な在庫調整の影響で一時的に落ち込んだものの、V字回復を見せている。
タイを中心に東南アジアでのアルミ缶の需要が着々と拡大しているほか、北米向けの輸出も伸びた。UACJは米国にも拠点を持つが、脱炭素の追い風による北米では供給が追いつかないほどの需要の高まりで、一部をUATHがサポートしている。山田社長は、「旺盛な需要にラヨン製造所が応えることができている。昨年度は好調に推移した1年だった」と振り返る。
昨年4月に稼働したリサイクル用の溶解炉については、早くも稼働率が8割となり、今後は鋳造プロセスの効率化も進めることで30年には年産36万トン体制を目指す。