<葛城俊哉 常務執行役員チーフテクノロジーオフィサー(CTO)>
三菱ケミカルは、事業ポートフォリオを「次世代」「成長ドライバー」「収益基盤」「構造改革」の4象限に再定義し、次世代と成長ドライバーに経営資源を重点投入する方向性を明確化した。研究開発を担うイノベーション部門は、次世代領域に位置づけた半導体・通信関連を重点テーマとして開発を加速する。
かねてイノベーション部門は、顧客価値と技術を軸とし、それぞれを新規と既存に分けて4つに分類し、各特性に基づく戦略を推し進めている。既存の顧客向けに新たな技術を用いる「次世代製品開発」では、次世代半導体や通信用材料の開発に力を注いでおり、全社戦略と一体で取り組みを強化する。
次世代半導体領域では、EUV(極紫外線)リソグラフィー用ドライレジスト材料の開発品が顧客評価で重要な局面に入っている。データセンターの排熱問題の解決に貢献する熱マネジメント材料の開発も進めており、次世代複合材開発の米スタートアップ、ボストン・マテリアルズ(マサチューセッツ州)との協業を深め、新材料の創出を目指す。負の熱膨張機能を持つゼオライト系材料も期待の高いテーマだ。
光通信では、光導波路や光接着剤など、光の屈折率を精密に制御する材料で成果が出てきた。旧三菱化成の染料事業で培った色素の知見を生かし、光電融合分野で存在感を高めていく。
イノベーションに関する技術は、有機、無機、計算科学、機能設計など7つのテクノロジープラットホーム(TPF)に集約している。なかでも機能設計は、材料の性質にとどまらず、デザインや構造まで踏み込むアプローチで、月面探査車YAOKIの一部部材として採用されるなど成果が出ている。今後は解析関連も重視し、強みである解析と分析をより連携させて高度な解析を行う仕組みづくりも検討している。
横浜市にある研究の中核拠点Science&Innovation Centerでは、高性能計算機(HPC)を用いて研究効率を向上している。ハード面の更新など強化策も計画する。
オープンイノベーションでは、東京大学、米カリフォルニア大学バークレー校やアリゾナ州立大学と強固な協力関係を築いている。これらの取り組みを軸に、新たな価値創造のスピードを高めていく。