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  • R&D特集 住友化学 、「3つのX」で社会課題解決
  • 2026年2月24日
     <山口登造 取締役専務執行役員>

     住友化学ではコーポレート研究の役割を明確化し、コア技術である有機合成、さらにプロセス開発、安全・分析といった基盤技術に経営資源を振り向け、徹底的に強化している。事業部門は既存事業の現況からの成長に重点を置く一方、研究開発部門は10年先を見据え、社会課題を先読みした研究テーマの事業化を推し進める。

     中・長期的には、エネルギーや医療行政などで社会課題が一段と深刻化することが想定される。研究テーマは、それらの課題を解決でき、住友化学の進む方向と整合性のある案件に絞り込んだ。

     大きな枠組みとしては、BX(バイオ)、DX(デジタル)、GX(グリーン)の3つのXを軸としてR&D戦略を遂行している。

     バイオ分野では、液晶ポリマー(LCP)の原料をホワイトバイオで製造する技術を開発中で、トンオーダーでの試作まで到達した。早期に製品化につなげたい考えだ。

     乳酸菌などを加熱処理したパラプロバイオティクス(殺菌菌体)は、畜産動物に与えることで免疫力向上など生体機能の改善が期待できる。輸送・保管時の温度管理が不要で、消費期限も延ばせる。メチオニンに続く飼料添加物として、2026年内に米国市場へ投入する計画だ。

     昆虫の嗅覚受容体を利用したバイオマーカーは、ヒトの尿を基にガンなどのリスクを測定する検査キットとしての提供を計画する。大腸ガンや胃ガンではラボレベルで80%以上の判定率を確認している。術後診断などでも実績を重ねたい。

     デジタル関連では半導体分野が中心で、製造工程で用いる薬品の高純度化をさらに進める。韓国子会社の東友ファインケムと連携し、分析技術も含めて磨き上げる。

     グリーントランスフォーメーション(GX)では、廃プラスチックを原料にエチレンなどを製造するケミカルリサイクル(CR)技術と、アルコールからオレフィンへ変換する技術の2つを重点テーマとする。

     また、強誘電性や強磁性といった複数の性質を併せ持つマルチフェロイック材料が、活性汚泥法の水処理で発生する余剰汚泥の削減に寄与する可能性が高まっており、開発ステージを引き上げる。
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