ウォン・チー・セン社長
住友精化のシンガポール法人、スミトモ セイカ シンガポール(SSS、ウォン・チー・セン社長)は、紙おむつなどに用いられる吸水性樹脂(SAP)「アクアキープ」の供給拠点として、アジア市場を中心に存在感を強めている。25年度も販売目標達成が見込まれるなど、安定した成長を続けている。
とりわけ好調なのが、中国市場に向けた薄型紙おむつ向けSAPの展開だ。中国市場では、紙おむつの吸収体が不織布の間にSAPを挟み込む「SAPシート」構造が一般的で、SAPシートに適したグレードのSAPは同社製品群の中でも競争力の高い領域となっている。
近年は東南アジアからの引き合いも増えており、SSSではこれまでに蓄積したノウハウをもとに、現地顧客への技術支援にも応じられる体制を備えている。
こうした市場の広がりを見据え、SSSでは現在、新工場の建設を進めている。従来の7万トンから年産14万トン体制となる計画で、25年度中に増強工事の完了を予定している。既存顧客への安定供給に加え、新規市場の需要にも柔軟に対応する体制を整える。
新工場では、住友精化が開発を進める新グレードSAPの生産にも対応できるようにした。吸水性能をさらに高め、より少ない材料で高性能を発揮し、環境負荷の軽減にもつながると期待している。また、日本の最新製造技術を取り入れ、生産プロセスの合理化を追求。電力や蒸気の使用効率を高めることで、エネルギー消費を従来比で約16%削減し、環境性能の向上も図る。
環境への配慮は、SSS単体にとどまらず、住友精化グループ全体としても重視すべきテーマだ。本社ではSAPのケミカルリサイクル技術の開発を進めており、工業的製造法実証のためのパイロット設備を26年に稼働予定で将来的には廃棄物削減に貢献する循環モデルの構築を目指す。
SSSは、新工場稼働で得た生産能力を生かし、顧客に高性能、環境負荷軽減につながるSAPを安定供給していく。