• 企画記事
  • ケミカルマテリアルJapan2025 第10回産業安全フォーラム 住友化学・荻野耕一氏
  • 2025年12月16日
    • 荻野氏
      荻野氏
     <DX技術等を活用した事故災害防止に向けた新たな取組み 住友化学 常務執行役員 生産技術 生産安全基盤センター エンジニアリング レスポンシブルケア統括 荻野耕一氏>

     住友化学が取り組んでいる保安力強化に向けた取り組みを紹介します。一つ目は設備保全技術の向上です。設備管理基盤システムの構築ではSAPと連携した全工場共通のシステムを導入しており、資料の作成、データ入力などが一気に効率化されました。これによって生み出された時間を有効活用することで十分に行われていなかった細かな検討が可能になり、分析に基づいた高度保全へ移行することを目指しています。実際、トラブルシューティングにかかる時間もかなり短縮しています。

     配管の外面腐食の検査は毎日のように行っています。従来に比べてかなり迅速に、そして網羅的にできることを目指しており、大学のご協力もいただきながら画像解析を用いた腐食検知を検討しています。設備故障の予兆検知に向けては、予兆検知モデルを構築しプラント内の連続運転データを解析することで異常を従来よりも早期に検知するプログラムを開発しました。これによって重度な破損トラブルを防止し、プラント停止を回避して計画補修で対応できるといった事例が出始めています。

     2つ目はオペレーション技術の向上です。人工知能(AI)を活用した災害防止では、これまでの災害事例などのデータをデジタル化し、安全に特化した生成AIを用いて危険予知(KY)・リスクアセスメントに活用するものです。モバイルによる省力化では、端末を現場に持ち込みパトロールなどの結果を打ち込むことで計器室とリアルタイムで情報が共有されます。若手に対して計器室からアドバイスする事例もあります。プラントの自動化では、経験が浅い運転員でも安全・安定操業できるようにスタート・ストップを含む非定常作業も自動化しています。開発に際してはダイナミックシミュレーターにより仮想プラントを作ることで期間をかなり短縮できました。

     3つ目は人材面での現場力向上です。例えばHAZOPは非常に多くの専門家を必要としますが、これを十分に勉強してリスクアセスをリードできるセーフティエンジニアを育成しています。運転員の育成人員では経験豊富なベテラン層から監督職に対して教育するシニア育成指導員などを選んでいます。トレーニングシステムでは、海外のプラントでボードマンの教育用としてシミュレーターを活用しているほか、国内では若い人にも親和性がある画像・動画を多用したマニュアルを活用しています。

     このほかにもAIサポートによるHAZOP補助システムも開発しているところです。
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