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  • 北米特集 トランプ2・0 迫られる成長領域の再定義
  • 2025年12月22日
    • インテル本社(左)とエヌヴィディア本社
      インテル本社(左)とエヌヴィディア本社
     ドナルド・トランプ氏が米国の大統領に返り咲いてからまもなく1年が経過しようとしている。第1次政権からの「米国第一主義」を引き継ぎつつ、バイデン前政権時代の国際協調路線を捨て、発足当初から通商政策やエネルギー・環境政策を大きく転換させてきた。

     この1年、世界を翻弄したのが高関税政策だ。通商にとどまらず、広く外交問題を解決する手段として関税を利用したのが特徴で、相互関税は一律10%の基本税率に加え、対貿易赤字国を中心に実に86カ国・地域に上乗せ税率を賦課。品目別関税は鉄鋼・アルミニウムをはじめ、自動車部品などへ広がり、同盟国や懸念国を区別せず、その対象地域や範囲などは事前の想定を超えるものとなった。

     前政権が進めたエネルギー・環境政策もハシゴを外された格好だ。2次政権の目玉の減税法案として7月に成立した、いわゆる「一つの大きく美しい法案」(OBBBA)。米国で脱炭素関連産業の育成を目指して前政権が成立させたインフレ抑制法(IRA)をないがしろにし、実際、電気自動車(EV)の税額控除が9月に終了し、エネルギー政策でも再エネ由来クリーン水素への補助金を縮小するなど、日系化学企業のビジネスにも大きな影を落とし始めている。

     もっとも、日本企業にとって米国が最重要市場であることは論を俟たない。24年末の対米直接投資残高は前年比6・2%増の5兆7000億ドルで、19年から6連続で国別首位を誇る。日系企業にとって商機が広がる産業の一つが、半導体だ。前政権の政策を次々と覆してきたトランプ氏も、半導体産業の振興を目的に策定されたCHIPS法には手をつけず、低迷するインテルには米政府が同社株式の9・9%を取得する救済策を講じた。人工知能(AI)ブームも手伝って国内外企業の投資が相次ぎ、まさに〝ドル箱〟の様相を呈している。急増するデータセンター関連も合わせて、部材、設備、物流などの需要が喚起されている。

     現地では、米国の内向きの保護主義志向は、今後、仮に民主党政権に変わったとしても大きく変わらないとの向きが多い。米国の高関税も固定化が予想されるなか、日系企業は政策運営を機敏にとらえ、成長領域に経営資源を投じる柔軟な事業計画の策定を迫られている。
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