仁木康博 社長
三井化学グループのアドバンスト・コンポジッツ(ACP、オハイオ州)は、全社一丸となって難局を乗り切る。主力のポリプロピレン(PP)コンパウンドの事業環境には不透明感が漂うが、OEMや部品メーカーの環境対応製品などのニーズに対応しながら、安定供給を徹底することで右肩上がりの成長を目指す。
ACPは北米自動車市場におけるPPコンパウンドのトップメーカー。生産拠点はオハイオとテネシー、メキシコのアグアスカリエンテスに展開し、ほとんどの日系と、電気自動車(EV)専業を含む米系のOEM、部品メーカーと取引している。前身会社を含めると来年は創業40周年。日系企業として米市場にしっかりと根を張っている。
2025年の米の新車生産台数は関税をはじめ、米中摩擦を背景とする半導体不足、アルミメーカーの事故といったサプライチェーン(SC)の混乱もあって前年割れする見通し。EV需要も9月に補助金が打ち切られ、鈍化が予測されるなど市場展望は厳しい。
グローバル8拠点で差別化した同一品質のPPコンパウンドを供給しているが、米で特徴的なのはポストコンシューマー樹脂(PCR)配合コンパウンドの採用が年々増加していることだ。独自の配合とコンパウンド、着色の技術により、PCR配合比率20~50%でバージン品と同等の品質を実現するもので、当初は米系OEMに採用されたが、現在は日系にも広がっている。仁木康博ACP社長は「ここ数年のカスタマーニーズのナンバーワンの材料。持っていなければユーザーとの話が進まない」と話す。
先端ニーズに対応するとともに重視するのは、事業の基本だ。仁木社長は社内に対し、「コロナ禍にもわれわれは供給を絶やさず顧客の信頼を獲得した。現在の混乱している状況は当社の強みを生かすチャンスだ」と伝えている。3拠点の最適生産計画と輸送効率の追求などにより安定供給とコスト低減に努め、さらなるシェア向上を目指す。