スコット・カルマン 会長
日本酸素ホールディングスの米事業会社マチソン・トライガスが、地域需要や労働環境の変化を踏まえ、供給網と運営体制の強化を進めている。西部で増える液化ガス需要に対応し空気分離装置(ASU)の新設を決めたほか、直接空気回収(DAC)向け酸素ではテキサス州で第一号案件が稼働した。生産現場では自動化が進み、効率と安全を両立する取り組みを主要拠点へ広げていく方針だ。
足元の米国市場は食品加工や医療向けが堅調な一方、減速する用途もあり、需要構造の差が際立つ。マチソンは、底堅い食品・メディカル、拡大を続けるエレクトロニクス、中長期で成長が見込まれるカーボンニュートラルなど複数の有望領域を視野に入れる。
供給体制ではネバダ州ラスベガスで新ASU建設を決定した。同地域は成長分野を抱えながら製造拠点がなく、長年の営業で築いた顧客基盤を背景に投資を判断。西海岸からの配送に依存してきた物流効率の改善も期待される。今後は西海岸やサンベルトの主要市場で、新工場や既存拠点の拡充を検討する。
DAC向けではテキサス州での新ASU完成により安定供給体制が整った。顧客側では拠点拡充が検討されており、同社は将来の事業展開を共有しながら、他のエネルギー企業との連携可能性も探る。中長期の成長領域として位置づける。
運営面では自動化が成果を上げており、テキサス州ブリッジポートのドライアイス工場では主要工程をフル自動化。安全性と生産安定性が高まり、人員は約四割減、年間100万ドル超のコスト削減につながった。このモデルを他拠点へ展開し、生産性向上と賃金上昇や労働力不足によって生じる人員確保の不安定化リスクの低減を図る。
ブランド面では来年四月にグローバルブランドを統一し、米国事業会社は「ニッポン・サンソ・マチソン」に改称する。既存の「マチソン」ブランドを生かしつつ、グループの信頼性と結束を高める狙いだ。