浅野健一 SVP・米州化学品商品本部長
米国三井物産の化学品事業は持続性のある事業基盤の構築に向け、新エネルギーや機能化学品といった分野に積極的に投資し、事業ポートフォリオを多様化している。
同社では今年、米肥料大手CFインダストリーズ・ホールディングスと日本のJERAと共同で、南部ルイジアナ州に世界最大級のアンモニア工場を建設することを決めた。アンモニアの原料は天然ガスで、生産時に排出する二酸化炭素(CO2)を回収・貯留することで環境への負荷を抑えた「低炭素アンモニア」として流通させる。
3社で作る事業会社に三井物産が25%出資し、製造したアンモニアを引き取る。輸送船を含むサプライチェーンを構築し、欧州やアジアなどに向けて販売、従来の肥料・化学向けや電力セクター向け、将来的な船舶燃料への活用も視野に入る。
コア事業の一つであるメタノールでは、米セラニーズと折半出資で設立したフェアウェイメタノールを通じて昨年、産業由来のCO2を回収・利用する「CCUメタノール」の生産を開始した。同社のマスバランス方式によるバイオメタノールや、デンマークでのeメタノールも合わせ、低炭素メタノールの製品ポートフォリオを拡充している。
石油製品・石油化学品向けタンクターミナル事業(ITC)では、ベルギーのタンクターミナル事業会社を完全子会社化、米州発の輸出拡大という新たな機会を取り込み、北米と欧州をつなぐ物流バリューチェーンの強化を図っていく。
ウェルネス、ニュートリション分野では、現中期経営計画期間に参画したセラニーズとの機能性食品素材事業、化粧品受託製造(ODM)事業などを通じて、同分野での事業基盤拡大を進め、人口増加や健康志向、ライフスタイルの変化を捉えた消費者起点のビジネス展開を狙う。
自然資本分野では、傘下のチリの植林・ウッドチップ製造会社を軸に、カーボンクレジットの取り扱いや森林資産の高付加価値化などを進める。