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  • R&D特集 三洋化成、全社視点で横串 成長加速
  • 2026年2月24日
     <藤井雄一 専務執行役員 研究担当兼事業企画担当兼研究所長>

     次代の成長につながる研究テーマを社会実装の視点で磨き込むことが重要課題だ。現在は2026年度に始動する次期中期経営計画を見据えた議論を進めており、研究開発においても「どの領域で、どの技術を、どの事業につなげるのか」という狙いと出口が明確になってきた。研究開発が個別事業の延長線にとどまらず、全社視点で横串を通す体制への転換にも取り組んでいる。

     テーマごとの進捗を見ると、バイオ分野では人工たんぱく質「シルクエラスチン」の事業化に向け、着実に進展している。創傷治療材としては医療機器として薬事承認を取得しており、2026年春に上市予定だ。シルクエラスチンのパイロット製造設備は京都工場内に設け、量産化を見据えた検討を行う。さらに2025年10月には半月板再生材用途でも企業治験をスタートさせた。シルクエラスチンは国内にとどまらず、市場規模の大きい米国への展開も視野にFDAの承認取得を含めた対応を進めている。このほか、エクソソームなどの細胞外小胞精製キット「EXOPRTION」の拡販も図りたい。

     新規事業では、ペプチドをバイオスティミュラント資材として活用する「ペプチド農業」に取り組んでおり、今後は猛暑下での有効性などエビデンスの拡充を図る。同じく新規事業では匂いセンサー「FlavoTone」の用途開拓を継続していく。工場の臭気管理や公共施設での活用など、顧客ニーズを起点に実証を重ね、事業として成立できるモデルを模索する。

     一方、基盤事業では電子部品向け放熱ギャップフィラーの展開を進める他、潤滑油添加剤も従来の自動車用途に加え、新分野への用途展開も検討していく。

     研究体制面では、成長し続ける三洋化成となるために、次期中計期間の研究独自のスローガンを若手研究員が中心となって検討している。現場で技術を磨く若手の発想や問題意識を前面に出し、研究組織全体の活性化と挑戦意欲の向上につなげたい。また2024年度は特許出願件数が前年度比で増加した。研究成果を知財として確実に押さえ、競争力ある事業へと結実させていく姿勢を今後も徹底していく。
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