世界が不確実な時代に入り中堅・化学品商社の重要性がより増している。多くの情報をつかみ先見の明を持ってビジネスを遂行できれば、ピンチの時であっても存在感を発揮できるチャンスがある。国内では汎用化学品の市況軟化さらに高機能品でも中国やインド勢の足音が近づくなか、エレクトロニクスやライフサイエンス関連を含めた多種多様な商材の調達、供給で活路を見いだし、その先の事業を模索することが求められている。そうしたなか、化学品商社各社へ足元の事業環境や米国関税の影響、将来の見通しなどについて今年もアンケートを実施した。
<25年度業績見通し 「若干増益」「横ばい」予想多数>
Q「2025年度の業績見通し」について、「若干の増益」(35%)、「大幅な増益」(4%)と、上向き予想が多かった。「価格改定と販売増(前年度よりは)を見込んでいる」「前年と同様程度の収益見通し」との見方だ。収益が上向く理由としては「当社の主力製品の顧客で在庫過剰感が解消される」「21年に設立したインド法人を連結対象としたことでビジネス拡大が見込める」としている。
一方で「若干の落ち込み」(23%)の見方もある。理由としては「米国の影響」「円安による燃料原料費や人件費の上昇によるコスト増、輸入物価の高止まりが国内の購買意欲の回復を阻害し、収益力改善に至らず、結果として若干の減益を予測する」「売り上げは数量ベースでは多少の減少を見込んでいる。中途採用による増員もあり経費アップが見込まれる」「中国の景気悪化による余剰在庫にともなう競争激化および国内需要のスローダウン」などの回答があった。
<原材料価格の高騰 販売価格上昇も数量減少へ>
Q「原材料・エネルギー価格の上昇にともなう製品価格と販売数量の変化」について、「価格は上がったが、数量は減少」(38%)が最多となった。販売数量が減少している理由として「競争激化による数量減少」「ユーザーの事業撤退や能力削減などにより、全体的に各商品で内需が減少している」「消費者心理の冷え込み」と、国内需要の減退を上げる声が多い。
ただ、「価格がナフサに左右されるものは昨年が上昇し、直近は下落傾向にある。一方で原材料の種類によって取扱数量が大きく伸びているものがある」「原材料・エネルギー価格の上昇のうち、当社にとって業績への影響が大きいのは国産ナフサ価格となり、主に合成樹脂セグメントに影響する。前期は一昨年よりナフサ価格が高水準で推移したが、原材料価格の上昇は基本的に顧客に価格転嫁し製品価格(売値)はプラス。合成樹脂セグメントの主な向け先のうち、とくにOA関連の需要が前期の生産調整局面から回復し、数量もプラスになった」と、数量が伸びている製品も少なくないもようだ。
<為替レート ”円高”に向かう可能性高い>
Q「為替動向」について、「円高に向かう」(54%)が最多の回答だった。「前期は日米金融政策の方向性の相違を背景に、前半は対ドルで円安が進行したが、足元では日本は利上げ・米国は利下げの方向で円高トレンド。今期も、両国の基本的な金融政策の方向性は変わらず、どちらかと言うと円高が進む可能性がやや高い。ただ、不確定要素として、米関税政策の影響で米国のインフレが進行・金利が上昇し、利下げペースが鈍化した場合、円安方向に動く可能性もあり、注視が必要」と今後も予断を許さない状況だ。
<人材確保・育成 人手不足対策で中途採用増>
Q「人材不足」については、「中途採用者を増やす」(64%)が最多となった。「現時点では充足しているが、若者の離職率の高さや慢性的な人手不足を考慮し、採用活動は継続する」「ベテランの定年退職に対する補充としての新卒採用は機能しない。不足が激しいのは中堅の35~45歳。欠員した業務を補完する採用ではなく、新事業への展開も見据えた異業種からのキャリア採用を実施する」と、新卒より中途採用の傾向が強まる傾向で、「化学品業界の不調による人材の流動性アップで中途採用者を採用しやすい」との声も出ている。
<トランプ関税 不透明感拭えぬも好機期待>
Q「トランプ関税」については、「直接的な影響は現時点で試算できていない。素材商社という立場上、顧客企業の影響が出てきた場合に徐々に影響が出る」「直接的な影響は少ないが、自動車産業など裾野が広い業界が影響を受けた場合に間接的影響がどこまで広がるか不透明」と、間接的な部分が多く不透明感があるとの声が大半を占めた。
一方で、「足元の堅調な業績を踏まえると、関税の影響は限定的。各地域・商材における対応を進める中で、マイナス面だけでなく、新たな商売が生まれる可能性もある。変化には迅速に対応していく」「米国関連ビジネスが減るも、商品群の増加や商売エリアの拡大、新顧客の獲得などチャンスもある」と変化を前向きに捉える会社もある。